「建設業は学歴の関係ない世界」。匠工務店を支える、日高大介の熱き想い

千葉県流山市に事務所を構え、ビル・マンション・公共施設(学校、病院など)の型枠工事を専門としている株式会社匠工務店。平成4年11月に創業して以来、一貫して施工技術を高め続けてきた同社は、型枠工事業界において高い評価を受けています。

また、建築施工管理技士や基幹型枠技能士、一級型枠技能士が多数在籍しており、独自の工法と技術力で、低コストかつ高品質な工事を提供しているのも特徴です。

今回ご登場いただくのは、取締役を務める日高大介さん。日高家の長男である彼は、高校卒業後から現在に至るまで、同社でその腕を磨き続けてきたといいます。

日高さんの歩んできた道のりには、技能者としての成長につながるヒントが詰まっていました。

■家業の手伝いをしているうち、型枠工事が面白くなった

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――日高さんは、何をきっかけに建設業の道に?

日高:私の父が匠工務店の創業者であり、その背中を見ながら私は育ってきたんです。父に影響を受けて建設業界に憧れ、普通高校を卒業した後は建築士を目指して浪人生活を送っていました。

浪人の期間にアルバイトとして家業の手伝いをしているうち、型枠工事の仕事が非常に面白くなってきたんです。それがきっかけとなり、「自分は、建築士ではなく型枠工事の仕事を頑張りたい」と考えるようになったのが、入職のきっかけでした。

――そこからは、職人としてひたむきに努力してきたのでしょうか?

日高:そうですね。「おそらく、いつかは自分が会社を継ぐんだろうな」という思いもあったので、早く一人前になりたいと考えてがむしゃらに働いていました。会社の先輩にも積極的に教わりながら、仕事に取り組んでいたのを覚えています。

初めて現場を任されたのは23歳のときでした。プレッシャーはありましたが、それ以上に「なんとかして期待に応えよう」という気持ちが大きかったですね。

■自分の価値観を大きく変えてくれた「動物衛生研究所」の現場

――日高さんが、思い出に残っている現場はありますか?

日高:茨城県つくば市に「動物衛生研究所」という施設があるんですが、26歳のときにその現場を施工したことが印象に残っています。

その施設は、獣医学における産業動物分野の研究開発をするために建築が計画されました。当時は全世界で狂牛病が流行していたこともあって、獣医学の研究施設は世界的に求められており、非常に重要度の高い案件でした。

その現場で経験したことが、自分が持っている価値観を大きく変えるきっかけになったんです。

――どのようなことを経験したのか、ぜひ聞かせてもらえますか?

日高:その現場は、高価な設備や特殊な電気工事が求められるものだったので、総請負金額の内訳が「設備:約40%」「電気:約40%」「建築:約20%」という比率になっていました。

過去に自分が経験した現場は、建築系の現場ならば「総請負金額の内訳は建築の比率が一番高い。だからこそ、躯体三役(鳶、鉄筋工、型枠大工)系の会社の発言権も非常に大きい」というのが当たり前だったんです。でも、その現場ではそうではありませんでした。逆に、設備系の会社や電気工事系の会社の発言権の方が大きかったんです。

だからこそ、打ち合わせの場でそういった会社から躯体三役系の会社に対して「仕事がちゃんと出来ていないじゃないか」と厳しく言われることも数多くあり、それが自分にとっては本当に衝撃的でした。

同時に、「自分はこれまで、躯体三役の業者が現場では一番偉いと思っていたけれど、それは間違いだった。なんて狭い世界で生きてきたんだろう」とも思いました。

――それを機に、仕事に対する価値観が変わったわけですね。

日高:そうなんです。自分が持っていた考えは甘かったと感じましたし、案件を成功させるにはさまざまな業者の意見を上手く調整する必要があることも学びました。非常に苦労の多い現場でしたが、それをやり遂げたことで大きく成長できたと思います。

■「建設業界の中で、どう生き残るか?」を日々考えている

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――今後、どのようにして会社を成長させていきたいと考えていますか?

日高:現在の建設業界は、オリンピックに向けた大規模な工事が多いこともあり、私たちも一定量の仕事を安定して受注できています。でも、2019年頃にはその需要が途絶えると言われていて、そこに向けて「どう生き残っていくか」を考えていく必要があるんです。

私たちは、弊社で働いている若い衆やその家族の生活を預かっている立場ですから、彼らを路頭に迷わせるわけにはいきません。

――具体的には、どのような方法で生き残っていきたいと考えていますか?

日高:必ずしも、“建築”にこだわり続ける必要はないと思っていて、“土木”の仕事にも手を広げる選択肢も考えています。今後、首都高の老朽化に伴ってインフラを再整備する公共事業は必ずあるでしょうし、リニアモーターカーを走らせるための土木工事も発生するでしょう。土木の案件も受注できる会社にしておくことで、仕事の幅はぐっと広がるんです。

これまで弊社は型枠工事を中心に扱ってきましたが、過去にやってきたことだけに囚われず、柔軟にさまざまな案件を請けられるようにすることが大事だと思います。それを実現するために、いま土木の施工管理技士の資格の勉強をしていて、数年以内に受験したいと考えているんです。

――会社の将来を考え、日々学び続けているのですね。最後になりますが、建設業界で働きたいと考えている若手に向けて、メッセージがあればぜひお願いします。

日高:これは父の受け売りなんですけど、建設業は学歴の関係ない世界です。中卒の人もたくさんいますし、かつてやんちゃだった若い衆が数年後に立派な技能者になっていくのをいくつも見てきました。自分の頑張り次第では職人として成功できるし、お金だってたくさん稼げる可能性を秘めている、本当に魅力的な業界なんです。

だからこそ、根性のある人、覚悟を持った人に入ってほしいです。ひたむきに努力して、この業界をより良いものにしていってほしいと思います。

――日高さんが、自社の社員や建設業界そのものに向ける“思いやり”の気持ちが、本当に印象に残りました。今回は本当にありがとうございました!

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