【現場監督向け】夏の労災「熱中症」を防ぐ現場の作り方

夏に近づくにつれて、気温も湿度も上がってきました。この季節の建設現場で気をつけたいことが「熱中症」です。

熱中症は、立ちくらみや筋肉の痛み、けいれんといった比較的軽度のものから始まり、時には人命を奪うこともある恐ろしい症状。

この記事は、現場監督の方々に向けて「作業員が熱中症にならない現場づくり」をテーマに、現場でできる熱中症の予防方法についてご紹介します。

■熱中症の原因と症状

建設現場で働いていると、直射日光にさらされることも多く、無風の屋内で作業することもあるでしょう。このような高温多湿の場所で長時間にわたり作業を行うと体に熱がこもり、大量に汗をかいてしまいます。

熱中症は「体温の上昇」と「大量の発汗による、体内の水分・塩分・ミネラルの低下」が原因で起こる症状です。

症状には、「めまいや顔のほてり」「筋肉の痛みやけいれん」「手足のしびれ」「体のだるさや吐き気」などがあり、重度の症状の場合は気を失ってしまったり、死亡事故が起きたりしてしまうこともあります。

熱中症が起きづらい現場をつくるためにはどうすればよいのでしょうか?

■「水分」「ミネラル・塩分」「体温」が熱中症を防ぐキーワード

熱中症を防ぐためには、以下3つの方法が効果的です。
・水分を補給してもらう
・ミネラル、塩分を補給してもらう
・作業員の体温上昇を防ぐ

◎水分を補給してもらう

私たちの体は成人で約55~60パーセントが水分で占められています。この水分は、体内で体温調節に使われたり、栄養素や老廃物の運搬に使われたりするなど、人間の生命活動に欠かせないものです。
環境省「熱中症環境保健マニュアル2014」より

人は体内の水分が失われると、体の能力が低下してしまい、めまいやだるさ、吐き気や頭痛などの症状を起こしてしまいます。

水分不足による熱中症を防ぐために、現場では以下のような方法を取り入れてみましょう。

◇建設現場にウォーターサーバーや自由に飲める飲み物を設置する
◇可能であれば、作業中に飲み物を飲めるようにする
◇こまめに水分補給の時間を設ける

この水分補給と同じくらい大切なものが、次の段落でご紹介するミネラル・塩分の補給です。

◎ミネラル・塩分を補給してもらう

私たちの体に含まれるミネラル・塩分は、筋肉・内臓・神経の働きを支える役割を持っています。ミネラル・塩分は汗と共に体外に排出され、体内の含有量が減ると、血圧の低下や立ちくらみ、筋肉のけいれんなどが起こってしまうのです。

現場では水分の補給とともに
◇塩分を含んだ塩飴やタブレットを配る
◇ミネラルや塩分を含んだスポーツドリンクを配る

などの方法を取り入れることで、熱中症をより効果的に防ぐことができます。

◎作業員の体温上昇を防ぐ

高温多湿な環境により体温が上昇すると、体の機能が低下するほか、発汗量が増えて水分・ミネラル・塩分が流出することで熱中症にかかりやすくなります。

現場では高温多湿の環境を避けるために
◇直射日光を避けるために、テントなどを張る
◇扇風機を設置し、風通しを良くして気温の上昇を避ける
◇打ち水を行い、現場の気温を下げる

などを行い、できるだけ現場が高温多湿にならないよう工夫しましょう。

このほかに
◇水で濡らした保冷シートやタオルで首筋を冷やしてもらう
◇通気口が付いたヘルメットを導入する
◇市販されているクールベスト(保冷剤が入ったベスト)や電動ファン付きウェアを導入する

など、熱中症対策グッズを購入し、作業員の方に使用してもらうことも効果的す。

■こまめな休憩や体調チェックなど、プラスアルファでできる現場の熱中症予防

先ほどお伝えした3原則のほかにも、熱中症を防ぐ方法があります。

◎作業員の体調チェック

熱中症は体力が低下している時に起きやすい症状です。
現場の朝礼の際に、「よく眠れたか」「朝食は食べたか」「風邪をひいていないか」「二日酔いではないか」など、作業員の体調チェックを行いましょう。

あまり体調がよくない作業員がいた場合は、休憩を多めにとってもらったり、肉体的負担の少ない作業を担当してもらったりするなど、作業員の体力に合わせた配置転換を行うとよいでしょう。

◎こまめな水分補給と休憩

人は、喉が乾いたと感じる時には、すでに体内の水分を2%失っています。そのまま汗をかき続けて体内の水分を3〜4%失うと「食欲不振」や「体のだるさ」を感じ始め、5%以上の水分を失うと「呼吸困難」や「けいれん」状態に陥ってしまうのです。
環境省「熱中症環境保健マニュアル2014」より

水分・ミネラル・塩分は口に入れてから体に吸収されるまでに時間がかかります。水分補給の休憩はできれば1時間に1回設け、作業員の体力低下を防ぐためにもこまめな休憩を心がけてください。

◎できるだけ作業員をひとりで作業させない

重度の熱中症は意識の低下や失神などを招きます。そのような状態になると、介抱しても水を飲まなくなったり、医療機関の受診が必要になったりする場合もあります。

熱中症にかかった人は、ろれつが回らなくなったり、まっすぐ歩けなくなったりするなどの異常が見られるので、できるだけ症状が軽い段階で異変に気づけるよう、作業員がひとりで作業しないように人員を配置しましょう。

◎暑さに慣れるまでは作業量は控えめに

体は寒さや暑さなど環境に適応して、体内の機能を調節しています。環境に適応するまでは数日から1週間程度かかると言われており、夏の初めや梅雨の合間は体が暑さに慣れていないため、熱中症にかかりやすい時期です。

季節の変わり目など、気温が上がり始めた時には作業員の作業量を減らし、熱中症にならないよう配慮しましょう。

■熱中症も労災のひとつ。対策は抜かりなく行いましょう!

熱中症は現場で働くすべての年齢層がかかり、死亡事故にも繋がりやすい症状です。
厚生労働省「職場での熱中症による死亡災害及び労働災害の発生状況(平成24年)」より

特に、これから訪れる7〜8月は気温や湿度も上がり、熱中症を発症しやすい季節になります。落下事故や接触事故などと同様、熱中症も労働災害のひとつ。しっかりと対策を行い、熱中症が起きづらい安全な現場を作りましょう。

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