【建設業の内勤者向け】ポイントを押さえて確実に作る!工事請負契約書の書き方

建設業者が、施主さんや元請負先などの「請負元」から工事を受注する際に取り交わすのが「工事請負契約書」。この書類は、施工の工事金額や工期などについて、発注者・請負者が合意して契約を結ぶために必要なもので、法律で作成が義務付けられています。

建築業の経営者や事務所で働く内勤スタッフ、一人親方ならば一度は見たことがある「工事請負契約書」ですが、どのように作成すれば良いのでしょうか?トラブルを避けて会社を守るために、契約書の作成方法をしっかりと学んでいきましょう。

※工事請負契約書は内容に不備があると、起訴などのトラブルを招いてしまうことがあります。作成後は必ず顧問弁護士や行政書士の方に確認をとりましょう。

契約書は、事業を円滑に進めるために作るもの

工事請負契約書は、「いくらで、いつまでに建物を完成させて、必ず引き渡します」という約束を交わした書類。同時に、もし建物が建てられない場合に、双方どのようにリスクを配分するかを取り決めるものです。

取り扱われる金額が大きい建設業では、もし工事金額の認識の違いや工期の遅れなどがあれば、請負者・発注者の双方にとって金銭面も含んだ大きなトラブルに発展してしまう恐れがあります。

契約書の正確な作り方を学ぶことは、起訴などのトラブルを減らし、事業を円滑に進める助けになってくれるはずです。

何を記載すれば良い?法律で定められた14項目とは

工事請負契約書の内容について
工事請負契約書を作成する時に記載する内容は、法律上、14項目を記載することが義務付けられています。紹介する14項目は複雑で、書類の作成は難しそうに見えますが、安心してください。

契約書の作成にあたっては、すでに項目が記載された市販の契約書があるほか、国土交通省のWebサイトなど見本をダウンロードすることができます。作成時はこれらの書類をもとに作業を行うとよいでしょう。
http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk1_000025.html

それでは、記載が義務化された14項目をご紹介します。

1. 工事内容(工事名や建築敷地の住所など)
2. 請負代金の金額
3. 工事着手と工事完成の時期
4. 「請負代金の全部」「一部の前金払」「工事が完了した部分」に対する支払いについて定めるときは、その支払の時期と方法
5. 発注者と受注者の一方から「設計変更」「工事着手の延期」「工事の全部、もしくは一部の中止の申出」があった場合に行う、「工期の変更」や「請負代金の額の変更」「損害の負担とそれらの額の算定方法」について
6. 「天災や不可抗力による工期の変更」や「損害の負担とその額の算定方法」について
7. 物価の変動・変更時に請け負う代金の額の決め方や、工事内容の変更方法について
8. 施工時に第三者が損害を受けた場合の賠償金について
9. 注文者が工事に使用する資材を提供するときや、建設機械などを貸与するときについて
10. 注文者が、「工事の全て」もしくは「一部の完成」を確認するための検査の時期・方法と引渡しの時期
11. 工事完成後に行われる請負代金の支払の時期と方法
12. 工事の目的物の過失に対する責任や、責任の履行に関して行う保証保険契約の内容(その他の措置に関して定めるときは、その内容も)
13. 契約内容の遅れや不履行時の遅延利息、違約金や損害金
14. 契約に関する紛争の解決方法

この中で、書類作成時に記入する項目は主に以下の8つになることが多いはずです。

1.工事名
2.工事内容
3.工事場所
4.工期(工事着手の時期及び工事完成の時期)
5.請負代金の額
6.請負代金の支払い時期と方法
7.調停人(定めない場合は削除)
8.その他+請負者と発注者の住所と氏名

契約書を取り交わすときには、書類本体を2通作成し、請負者と発注者が記入項目を確認した後にそれぞれ保管します。このとき、取引額に応じた印紙が必要です。

また、書類本体のほかに「設計図書(配置図・平面図・立面図・断面図、縮尺1/100程度など)」「見積書」「契約の約款(契約書に14項目が正確に記載されている場合は不要)」が添付されることが一般的。契約の際は、これらの書類も忘れずに添付しましょう。

次に、主要な8つの項目の書き方をお伝えしましょう。

工事請負契約書の書き方 〜「工事名」から「請負代金の額」まで〜

工事請負契約書の書き方
※上記は記入例

1.工事名
工事名には、「○○○○建築工事」のように、その工事に付けられた名前を記載しましょう。

2.工事内容
工事内容には「添付の図面№1~10、仕様書№1~3のとおり」など、添付する設計図書(配置図・平面図・立面図・断面図、縮尺1/100程度など)のどこに内容が書いてあるのかを記載します。

3.工事場所
ここは、建築敷地の地番(登記制度上、土地ごとに付けられる番号)、または住所を記載します。

4.工期(工事着手の時期及び工事完成の時期)
ここは「着手時期」「完成時期」をそれぞれ記入します。引き渡しの時期の記入が必要な場合は「完成の日から○日以内」と記載します。

5.請負代金の額
請負代金額は、工事価格と取引にかかる消費税や地方消費税の額の合計額を記入します。この項目は必要に応じて、「工事価格」と「取引にかかる消費税や地方消費税の額」を分けて記載しましょう。

工事請負契約書の書き方 〜「請負代金の支払い時期と方法」から「その他の項目」まで〜

工事請負契約書の書き方例
※上記は記入例

6.請負代金の支払い方法
ここで、請負代金の支払い時期と方法を記載します。
建設業界では多くの場合、工期が長くなるので「建物を建てる前」「建物を建てている最中」「引き渡し後」の3つのタイミングに分けて請負代金を支払うことが慣例化しています。

7.調停人(定めない場合は削除)
もし契約が守られなかった場合、請負者と発注者の間を取り持ち、調停する人物の名前を明記します。(定めない場合はこの項目は削除します)。

8.その他+請負者と発注者の住所と氏名
ここで、契約を取り交わすこと、契約書を何通作るかなどを記載し、契約時に「契約を交わした年月日」「請負者の名前と住所」「発注者の名前と住所」を記入します。
請負者と発注者の名前の横には印鑑を忘れず捺印しましょう。

また、保証人を立てる場合は、保証人の名前と住所を記載し、印鑑を捺印する必要があります。

ここより下は契約の内容を記載します。内容は国土交通省のWebサイトから内容例がダウンロードできますので、その文章をもとに作成を行うとよいでしょう。
http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk1_000025.html

工事請負契約書に添付される4つの約款

工事請負契約書の約款について
契約書を作成する際は、先ほどご紹介した項目のほかに、契約内容を記した約款を添付することがあります。

その際に使う約款は、請け負う工事の規模や種類によって全部で4つの約款が使い分けられています。以下にその種類と内容をご紹介します。

①公共工事標準請負契約約款(公共約款)
⇒この契約書は公共工事のほか、電気・ガス・鉄道などの民間工事が対象。主に、国・都道府県・市区町村などの行政府とゼネコンなどの大手建設業者が取り交わす書類です。通常、行政側が約款を含めた契約書を作成しますので、民間企業側は作成することはありません。

②民間建設工事標準請負契約約款(甲約款)
⇒民間の比較的大きな工事(ビルや商業施設など)が対象。主に民間企業と建設業者が取り交わす書類です。

③民間建設工事標準請負契約約款(乙約款)
⇒民間の比較的小さな工事(個人住宅など)が対象。主に家を購入する個人と、施工を行う住宅メーカーや工務店などが取り交わす書類です。

④建設工事標準下請け契約約款(下請約款)
⇒公共工事・民間工事を問わず、下請契約全般が対象。これは建設業者同士が取り交わすもので、元請負と下請負の間の契約を取り決めるものです。この書類は、下請基本契約書が無い場合に注文書や注文請書を交わす際に添付します。

これらの約款は、国土交通省の下記のWebサイトからダウンロードできるものを参考にすれば問題ありませんが、契約上必要な内容に応じて、適宜変更を加えて使ってください。
http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk1_000025.html

約款は文面も独特で、わかりづらいものです。内容に不安が残る場合は、行政書士などにサポートしてもらいながら作成を進めてください。

正確・確実な契約書をつくり、会社・従業員の生活を守ろう!

取り扱う金額が大きい建設業。正確な契約書を作ることは、会社を守り、従業員の生活や関係各社を守ることにつながります。

記載する項目や約款など、わかりづらいことも多い書類ですが、行政書士などの力を借りて、記入漏れのない契約書を作っていきましょう!

 

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