【前編】労災保険のプロ「全国建設業労災互助会」が教える。政府労災保険や労災上積み補償制度ってどんなもの?

建設業界は、労働災害の発生率が全産業の中でも比較的高い業界です。にも関わらず、政府労災保険や労災上積み補償制度(以下、労災上積み)の内容や重要性について、なかなか理解が進んでいないのが実状でしょう。だからこそ、専門家にわかりやすく教えてほしいという方はたくさんいるのではないでしょうか?

今回は、労災上積みについて「一般社団法人 全国建設業労災互助会」(以下、労災互助会)常務理事の迎哲郎さん(写真中央)、業務係長の鈴木圭子さん(写真左)、長島麻衣子さん(写真右)の3名に詳しくお話を伺いました。労災互助会は、労働災害に関する調査を行うほか、労災上積みなど建設業のリスクに対応する各種補償制度を提供しており、建設業界の人々が安心して働ける環境作りに取り組んでいます。

前編・後編の2回に分けて、政府労災保険や各補償制度についての理解を深めていきましょう。

労災上積みは、自動車保険における「任意保険」のようなもの

rousai01

―建設業で働く方の中には、政府労災保険と労災上積み保険の仕組みが難しくて、よくわからないという方が多いと思います。この2つがどのようなものか教えてください!

迎:この2つは、自動車保険に置き換えてイメージするとわかりやすいです。

車の保険には、自賠責保険(強制加入)と自動車保険(任意加入)があります。自賠責保険は、法律で加入が義務付けられており、自動車やバイクを運転する方なら必ず入らなければなりません。通常、これに加えて、自賠責保険ではカバーしきれない損害を補償する自動車保険に加入しますよね。この2つの関係性は、まさに政府労災保険と労災上積み保険の関係性によく似ています。

車の保険でいう自賠責保険が、政府労災保険。任意保険にあたる部分が、労災上積み保険に該当するのです。政府労災保険は、社員・パート・アルバイトなど、1人でも従業員がいる場合は加入が義務付けられています。また建設業においては、元請会社が加入する政府労災保険で下請会社まで全て補償するような形態になっています。

―政府労災保険に加入していれば十分なようにも思えますが、労災上積みに加入する意味はなんなのでしょうか?

鈴木:先ほどご説明したとおり、政府労災保険は自動車でいう自賠責保険にあたるため、限られた補償となっています。そのため、従業員が亡くなったり、大怪我をしたりした場合に、十分な補償が得られないケースがあります。だからこそ、政府労災保険に加えて労災上積みに加入しておくことで、従業員やその家族を万が一の労働災害から守ることができるのです。

労災互助会の「労災上積み」は企業のニーズに合わせ、補償内容を選択可能

rousai02

―労災互助会の提供する労災上積み保険は、どのような補償なのですか?

迎:大きなポイントとして、政府労災保険の制度とリンクしていて、大変わかりやすいという事です。有期事業、継続事業、政府労災保険特別加入者契約(以下、特別加入者制度)、政府労災保険未加入者契約(以下、未加入者制度)の4つがあります。まずは有期事業と継続事業の2つからご説明しましょう。

有期事業は現場で働く全ての方が対象となります。元請や下請の労働者、アルバイトまで全ての人が含まれます。

継続事業は、本社などで事務関係に携わっているなど内勤の方が対象です。

―そのような違いがあるんですね。3つ目の特別加入者制度はどのようなものですか?

迎:政府労災というのは、従業員や下請等を主に対象としているので事業主等、経営者の皆様は対象となりません。一方規模によっては経営者の方も現場で働くことがありますので、その方達もお入り頂ける特別加入者制度が政府労災保険にはあります(任意)。この政府労災保険の特別加入者制度と同様に、当労災互助会でも特別加入者制度を設けていて、こちらも任意で加入することができます。

有期事業・継続事業・特別加入者制度の3つが、私たちが提供する制度の基本です。当団体では、有期事業の加入は必須ですが継続事業と特別加入者制度は任意となっています。

―4つ目の未加入者制度はどのようなものですか?

鈴木:一般的には事業主や一人親方は政府労災保険には加入できません。しかし、当会の労災上積み補償制度では、そのような方も任意で加入する事ができます。

なんと通勤途中の事故まで!従業員にとって身近なリスクをきめ細やかに補償

rousai03

―労災互助会が提供する保険はどのような強みがあるのでしょうか?

迎:まず、経営事項審査制度の「法定外労働災害補償制度への加入」に該当するので経営審査事項で15ポイント加点になるのは大きな強みです。

長島:加点対象になるための条件を満たしているということはつまり、死亡・後遺障害の1級~7級まで対象とする、業務上災害と通勤途中の事故も補償する、従業員と下請まで全ての労働者を補償するという3点を網羅していることを意味します。

―現場だけでなく、通勤途中も補償されるというのは本当に安心ですね。

長島:他にも「入院見舞金制度」も当団体の良い制度だと思います。被災者が入院をした場合、労災互助会では、5日以上の入院で入院見舞金をお支払いしています。

―本当に至れり尽くせりなのですね!お話を伺っていて、だんだんとその良さが理解できてきました。ぜひ、他の補償制度についても教えていただければと思います。

何が起こるかわからない建設現場。万が一に備えて“安心”を買う

前編では、政府労災保険と、それを補う労災上積み保険について解説していただきました。建設現場では、いつどんなことが起こるかわからないからこそ、補償制度の仕組みや必要性をきちんと理解しておきたいところです。

後編では、第三者賠償補償制度と、建築・土木・組立補償制度について触れていきます。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でケンセツプラスをフォローしよう!