より厳密さが求められる法定三帳簿(労働者名簿、賃金台帳、出勤簿)の書き方

現場で働いている方の働き方改革の必要性に関しては、これまでも「ケンセツプラス」でも何度か紹介してきました。しかしながら、建設業界では現場と同様にオフィスワークの働き方改革も喫緊の課題です。

今回は、「法定三帳簿」と呼ばれる「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」の整備、管理について紹介します。

もともと労働基準法で、企業に対し整備・管理・保管が義務付けられている帳簿なのですが、2018年6月29日に「働き方改革関連法案」が成立したことによって、その重要性がさらに増してきました。

人事、総務、労務ご担当者はもとより、建設業では経営者自身で労務管理を担当している場合も多いはず。まずは「法定三帳簿」の意義や書き方、保存期間をおさらいしていきましょう。 

建設業は働き方改革関連法案でどう変わる!? 〜36協定と勤怠管理について〜

「労働者名簿」(労働基準法107条)の保存期間と書き方

使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者(日日雇い入れられる者を除く。)について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。
(労働基準法 第107条より引用)

「労働者名簿」は、従業員を1人でも雇用していれば企業規模を問わず、個人事業主でも作成する必要があります。また従業員は正規、非正規、パートタイマーなど雇用形態は関係なく作成の義務があります。

上記と合わせて、「労働基準法 施行規則 第53条」に労働者名簿の記入事項が下記のとおり定められています。
 

【労働者名簿に記入すべき事項】

  1. 労働者氏名…労働者の氏名
  2. 生年月日…労働者の生年月日
  3. 履歴…異動や昇進など社内での履歴
  4. 性別…労働者の性別
  5. 住所…労働者の住所
  6. 従事する業務の種類…社内での業務内容や役割。ただし、労働者数が30人未満の事業では、記入は必須ではない。
  7. 雇入れ年月日…雇用した日
  8. 退職、又は死亡の年月日とその事由…従業員都合で退職した場合は、事由(理由)を明記しなくてもよいが、会社都合の場合は、解雇の理由を明記する必要がある。また従業員が死亡した場合は、死亡の原因を記載します。

 

労働基準法関係主要様式は厚生労働省のWEBサイトからダウンロードが可能です。

保存期間は、退職日、解雇日、死亡日から3年間となっています。各従業員の労働者名簿の更新については、「労働基準法 施行規則 第53条」に“遅延なく”と明記されていますので、記載事項に変更があったら随時更新をするようにしましょう。

また「正社員以外の名簿は作っていない」「入社時に作成して以降、更新していない」などの不備で労働基準監督署から指摘を受けた場合は、「30万円以下の罰金」の罰則が適用されます。

「賃金台帳」(労働基準法108条)の保存期間と書き方

使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。
(労働基準法 第108条より引用)

「賃金台帳」は、すべての従業員が対象となり、各労働者別に記入しなくてはいけません。「労働者名簿」との違いは、日雇労働者も対象になるということです。では、「労働基準法 施行規則 第54条」に定められた記入事項を確認しましょう。

【賃金台帳に記入すべき事項】

  1. 氏名…労働者の氏名
  2. 性別…労働者の性別
  3. 賃金計算期間…それぞれの事業所の賃金締切日の翌日と締切日を記入
  4. 労働日数…③の期間で労働した日数を記入。ただし日雇労働者は原則として1カ月以上を引き続き雇用している場合を除き、記入は不要
  5. 労働時間数…③の期間の労働時間数の合計を記入
  6. 時間外労働時間数(休日労働時間数、早出残業時間数、深夜労働時間数)…時間外労働をした場合は、その合計時間を記入。通常残業、休日労働、深夜労働で割増賃金の計算が異なるので注意
  7. 基本賃金、手当その他賃金の種類ごとにその額…基本給の他、その他手当の金額を記入
  8. 控除金…賃金から控除されるものを記入します。主に健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料、所得税、住民税など
  9. 実物給与…金銭以外のもので会社から支給したものを記入します。社宅や寮、職務に必要な技術を習得するための費用などが考えられる

 
 
「賃金台帳」の保存期間は、最後に記入した日から3年となっています。

「賃金台帳に不備がある」「労働日数や労働時間が正しく記入されていない」「法定期間保存していない」などの調整義務違反や保存義務違反をした場合、労働基準監督署による是正勧告がされます。是正勧告に従わないなど悪質と認められた場合は、罰則として「30万円以下の罰金」が適用されます。

「出勤簿」(労働基準法第109条)の保存期間と書き方

使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を3年間保存しなければならない。
(労働基準法 第109条より引用)

「出勤簿」は、上記「労働基準法」の他、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年1月20日策定)や改正労働安全衛生法にも「従業員の労働時間を適切に把握する」ことが規定されています。
 

【出勤簿に記入すべき事項】

  1. 氏名…労働者の氏名
  2. 出勤日…労働者が労働した日付
  3. 始業・終業時刻…②に連動して、出勤日の始業・終了時刻
  4. 休憩時間…出勤日の休憩時間。労働基準法では労働時間が6〜8時間の場合は、少なくとも45分。8時間以上の場合は、1時間の休憩時間を与えるように定めている

 

「出勤簿」に関しても、労働者が最後に出勤した日から3年間の保存が義務付けられています。「労働者名簿」「賃金台帳」と同様に、違反をした場合は労働基準監督署による是正勧告がされます。是正勧告に従わないなど悪質と認められた場合は、罰則として「30万円以下の罰金」が適用されます。

「法定三帳簿」をしっかりと整備するために

今回、改めて「法定三帳簿」を取り上げたのは、冒頭にもあるように「働き方改革関連法案」の成立によって様々な変化が想定されるためです。「残業時間の上限」「年次有給休暇の取得義務」「勤務間インターバル制度」なども施行されるため、より厳密に管理をする必要が生じ、従来どおりの方法では不備が指摘される可能性が高くなり、大きな手間もかかるようになるでしょう。

「働き方改革関連法案」の目的は、正しい賃金の支払い、長時間労働を是正し、労働者の健康を維持し、過労死などを抑止することが目的です。

そのためには適切な労務管理が必須であり、その根幹となるのが「法定三帳簿」です。項目や保存期間などの細かいルールがあり、労働基準法に則った罰則も適用されるためハードルが高い印象もありますが、しっかりと勤怠管理をすることで「法定三帳簿」の整備、更新、保存は容易になります。

「その勤怠管理を把握するのが難しいんだよ」

という声もあるでしょう。建設業は一般企業と違い、労働者がオフィスに出勤するのではなく、現場へ直行直帰することも多く、従業員が複数現場で作業するケースもあります。始業時刻と終業時刻を正確に把握するのは難しく、管理や更新をするのも大変な手間がかかります。

そのような建設業界だからこそクラウド勤怠管理システムが便利です。いつでもどこでもスマートフォンやタブレットで出勤・退勤を手軽に行うことができ、データ上で一元管理も可能なので、人事・総務・労務担当者の業務も軽減することができます。

「法定三帳簿」の作成、管理、保存の手間も削減しながら、適切な労務管理をすることが、いま求められています。

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