“人づくり”を目指す建設会社経営者は必見!「富士教育訓練センター」は、実習で技術・技能を学べる教育施設だった

「社員の教育訓練の方法がわからない。OJT以外の方法は見つからない……」

こんな悩みを抱えている経営者の方は、きっとたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。建設業における技術・技能の多くは、座学だけでなく実際に作業をしなければ身につかないもの。けれど、建設現場で社員の教育訓練を実施する余裕が失われつつあるのが現実です。

しかし、現場に即した技術・技能はもちろん、社会人としてのマナー教育も行う「人づくり」プランを提供する教育訓練施設が静岡県にあります。それは、「富士教育訓練センター」(運営主体は職業訓練法人全国建設産業教育訓練協会)です。

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本施設は、静岡県富士宮市の旧建設省(現国土交通省)建設大学校朝霧校跡地に開校した、建設技術者や技能者のための教育訓練所です。土木や建築、建設機械の運転、型枠、左官など、建設業において必要になる多種多様な技術・技能の教育訓練を受けられます。

座学だけではなく、実際に作業をして技能を身につける合宿型の研修ができるのが大きな特徴。現場で求められる資格取得はもちろんのこと、施工技術・技能取得のために必要となるスキルを、多彩な研修カリキュラムを通じて学べます。

また、予め用意されているコース以外に、リクエストに応じて内容をアレンジしてもらえるオーダーメイドのコースもあり、研修の内容を企業のニーズによって柔軟に変えられるのもメリット。この施設を利用して技術・技能研修を行っている建設業者は数多く、講義の質の高さはお墨付きです。建設業者だけでなく、建設系の専門高校生や大学生も研修に訪れているそう。

今回は、複数の建設系大学に所属している学生達が、本施設で実習を受ける「建築系大学夏期研修」(コンクリートコース・木造コース)が開催されるという噂を聞きつけ、取材に行ってきました。そのレポートをお送りします!

講義に潜入!まずは建設の基礎知識と、危険予知活動について学ぶ

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潜入したのは、建築施工管理実習の「鉄筋コンクリートコース」です。このコースでは、将来の現場管理者を育成する目的から、鉄筋コンクリート工事に関する基礎知識、使われる道具や資材、施工上の注意点、施工の手順や方法などを、座学と実習の両方を通じて学ぶことができます。

建設現場での業務経験が豊富な講師が、自身の経験をベースに説明をすることから、講義の内容は自ずと深く、実務に即したものになります。

学生達は、講師の橋本学さんの説明を熱心に聞き入っていました。集中した面持ちで講義を受けており、ノートを取る手にも余念がありません。

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次に行われたのは、現場に入る前の「危険予知(KY)活動」に関する講義です。

これは、作業中にどんな危険が発生するかをメンバー同士で話し合って共有し、その予防策や対策を考えることで、一人ひとりが安全を意識した作業をするように安全衛生を先取りする活動のこと。

橋本さんは、真摯な口調で学生達にこう語りかけていました。

「建設業界では、重機や工具での施工、薬品の塗布など危険を伴う作業がたくさんあります。だからこそ、他の業種と比較して労働災害に遭われる方が非常に多い。なんと、日本全体の中で労働災害で亡くなる方のうち、建設業に従事する方の割合は3分の1近くにも及びます。それを少しでも減らすために、私は危険予知活動の重要性を皆さんに教えています。労働災害に遭って亡くなる方の人数を“0(ゼロ)”にしたいんです」

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説明の後は、危険予知活動の実践。数名でグループを作り、現場にはどんな危険が潜んでいるのか、どのように予防すべきかを熱心に話し合い、用紙に記入。

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メンバーの1人に、どのような方法で用紙を埋めていったか、話を聞くことができました。

「自分達はまだ実務経験が無いので、どんなトラブルが起こるか、みんなで想像しながら考えていきました。書いた内容が全て正しいかは分からないですけど、こうやって自分なりにきちんと考える作業が、現場での事故を防ぐために大事なんだろうなって実感しています」

彼らの心の中には、現場の安全を守る“仕事人”としての自覚が、少しずつ芽生え始めているようでした。

鉄筋コンクリートコース、実習スタート!

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講義を受けた後は、鉄筋の組立の実習です。

取材当日は、日本に上陸していた台風の影響により午前中は雨が降っていました。しかし、実習が始まる昼頃には治まり、太陽の光が差して絶好の実習日和に。

本日の目標は、柱の鉄筋部分を組み立て終えること。数名のグループに分かれて作業スタートです。まずはコンベックスを使って、柱心はどこになるか、そして型枠がどの位置に来るか墨を出していました。

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墨を出した後、鉄筋を組み立てる作業が始まります。タテ軸・ヨコ軸の鉄筋の交差部に、“結束線”という針金を巻き付けて固定。そして、“ハッカー”と呼ばれる、先が鉤爪のようになった金属の棒を使い、くるくると巻き付けていく工程を、講師の橋本さんが手本を示しながら説明していきました。

「おいみんな、『くるくるくるー』と声を出しながら巻いていくんだぞー」

と、ユーモアを交えながら話すと、学生達からどっと笑いが起きました。緊張も少しほぐれた様子です。

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いよいよ、学生達も実践スタート。

慣れない作業のため、初めは苦戦した様子です。しかし、時間が経つにつれ徐々にコツを掴んできたのか、スムーズに結束線を巻けるようになってきました。「俺、もう職人さんと同じくらい上手くなったかも」と微笑ましい軽口も飛び出します。

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柱の下部から上部へ向け、少しずつ鉄筋を組み上げていく。その眼差しはまさに、真剣そのもの。

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鉄筋を組み終えた後は、“ドーナツ”と呼ばれるスペーサーを取り付けます。これを型枠や捨てコンクリートと鉄筋の間に差し入れて間隔を確保することにより、鉄筋が動かないように所定の位置へ固定し、必要なかぶり厚さを保つことができるのだとか。こんな小さな材料が鉄筋コンクリートにおいて重要な役割を担っていることに、学生達も感心した様子でした。

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こうした一連の作業を終える頃には、もう夕方。この日の実習を終えた学生達の表情はどこか頼もしげで、達成感に溢れているように見えました。

「体験するからこそ、理解できることがあった」研修に参加した学生は語る

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研修に参加した学生の1人、東洋大学理工学部建築学科4年生の松本陽大さんからお話を伺うことができました。彼はこの実習を通じて、どんなことを学んだのでしょうか?

「僕は去年もこの研修に参加したこともあって、今回はグループのリーダーに任命されました。みんなをまとめていくのは本当に大変でしたけど、研修はすごく楽しかったですよ。一緒に作業したメンバーも面白いやつらばっかりでした。

富士教育訓練センターは、座学だけじゃなくて、実際に手を動かして何かを作ったり動かしたりできるのが魅力だと思います。作業してみることで、『他の人の後ろを通る時には、声を掛けないと危ないんだな』とか『この手順にはこういう意味があるんだな』っていうのが理解できるじゃないですか。

ここで学んだことは絶対に、就職した後も役立つだろうなって思います」

ものづくりの基礎は人づくりから。富士教育訓練センターは、建設業界の未来を育てる

建設業界において、“人を育てる”ということの重要性は、昔も今も変わりません。そして、それを支援してくれる富士教育訓練センターは、経営者や社員のみならず、この業界を志す学生達にとっても、価値のある施設となっているようでした。

どう社員を育てたらいいか悩んだ時、この施設の利用を検討してみてはどうでしょうか。ここでしか得られない経験が、きっとメンバーのスキルを向上させてくれるはずです。

取材協力:富士教育訓練センター

※ 取材の研修は、平成28年8月29日(月)~9月2日(金)の5日間の日程で富士教育訓練センターで開催された「建築系大学夏期研修」(鉄筋コンクリートコース・木造コース)。現場管理者を目指す建築系学部の大学生を対象に、現場実務において必要な技術を体験し、建築工事における安全管理、作業手順、器工具、躯体工事等についての基本的な技術・技能を修得することを目的に、東洋大学の浦江真人教授が中心となり企画、実施。本年で7回目の開催となり、参加大学は東洋大学のほか、ものつくり大学・名城大学・立命館大学の学生が参加した。 年々、女子学生の参加者が増加し、参加者36名のうち、16名が女性となり、参加者の44%を占めるようになっている。

 

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