「働き方改革」関連法案により、これまで残業時間の規制対象外とされてきた建設業界も、2024年4月1日以降は残業上限規制の対象となることが決定しています。とはいえ、業界の働き方改革の前途には未だ大きな難問が存在しています。そこで今回は、その解決策として国から推奨されているICTの具体策のひとつ「ビジネスチャット」の有用性についてご紹介します。
働き改革に有効なビジネスチャット
建設業界はこれまで残業時間の規制対象外とされてきましたが、「働き方改革」関連法案により、2024年4月1日より残業上限規制の対象となることが決まりました。その施策として、国はICT(=IT。IT技術を活用するという意味合いが含まれる)の導入を掲げています。
そんな中でいま注目されているのが、ビジネスチャットです。ビジネスチャットとは、チャット機能をメインにテキストや写真などをグループ化した複数人で共有する、ビジネスに特化したコミュニケーションツールのことです。
チャットツールの普及率は、大手企業を対象とした導入調査(2018年12月調べ)によると、「全社で導入」と回答した企業が33%、「一部で導入」と回答した企業が20%という結果でした[注1]。当時は全体の約3割の企業においてチャットがすでに活用されていましたが、年々、この比率はさらに高くなっていると推測されます。そしてこのビジネスチャットは、建設業界でも有用です。以下で詳しくみていきましょう。
[注1]
サイバーソリューションズ株式会社
「メールとビジネスチャットツールの利用実態調査」
■調査対象 : 全国、従業員数 200 名以上の企業に勤務する経営者・ 役員、及び係長・リーダークラス以上の役職者
■調査方法 : インターネット調査
■有効回答数 : 500
ビジネスチャットが建設業界にもたらす3つの効率化

建設業界はその構造上、設計から法務、資材調達、施工を始めとする実に多様な業務が連携することで成立しています。そこで交換される情報の量はきわめて膨大であり、なおかつ交換方法は年々複雑になってきています。こうした情報交換の主役はこれまでメールや電話が担っていましたが、決して効率の良い方法ではありませんでした。
ビジネスチャットを活用することで、情報交換の効率化を図ることができます。
1. 「報連相」がスピードアップ、連絡や移動などの時間的ロスが解消される
ビジネスチャット導入後、第一に想定されるメリットが、スピード感です。ビジネスチャットでは移動中でもスマートフォンやタブレットで簡単に情報を得ることはもちろん、リアルタイムの会話のように返信できるため、報告・連絡・相談がスムーズに行えます。
ビジネスチャットは、テキスト・写真をチャットルームのメンバー全員が同時に共有できるため、例えば建設現場で問題が生じた時に写真を添付して報告してもらえば、わざわざ現地に行かなくても状況を把握し対応策を協議・指示することができます。
このように関係者へ個別に連絡する時間や現場での移動時間などのロスを軽減することができます。
2. 現場での煩雑なコミュニケーションを整理し、スムーズな情報共有を実現
基本的にメールや電話は1対1のコミュニケーション用ツールですが、ビジネスチャットでは1対1のコミュニケーションに加え、複数人でコミュニケーションが可能です。
編成別、役職別、工区別など現場関係者を目的に応じてグループ化し、チャットルームを作成すれば “報・連・相”が整理され、内容を把握しやすくなります。また、チャットルームのメンバー全員に瞬時に連絡ができるため、コミュニケーション効率が飛躍的に向上します。例えば、内装工事の関係者でチャットルームを作っておけば、内装工事に関するスケジュール変更や指示、依頼事項を簡単に共有することができます。
また、誰に相談するべきか判断がつかないとき、チャットルームに投稿することで適任者からの回答を瞬時に受けられるのも大きなメリットと言えるでしょう。
3. 会話の履歴が残るため、情報伝達のミスが減る
ビジネスチャットでは、リアルタイムで会話すると同時にその履歴が全て記録されるため、後から振り返ることができます。
また、会話の履歴を見ることで後からチャットルームに参加したメンバーが簡単に追いつくことができる点も大きな特徴です。
会話の結果のみならず、経緯や背景をチャットルームのメンバー全員で共有することができるため、勘違いや誤解などによる情報伝達のミスを減らすことができます。
ビジネスチャットはコミュニケーションをより円滑にする
働き方改革への対応が求められている現在、ビジネスチャットは大がかりな業務改革を必要とせずに導入することが可能で、作業の効率化を促進できます
既存のメールや電話が抱える非効率さを解消し、現場に新しい活力をもたらしてくれるでしょう。
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