労災防止に必須の書類、安全ミーティング報告書の作成ガイド

建設現場で作業員全員が参加して行う安全ミーティングや危険予知活動(KY活動)は、安全な現場づくりに必要不可欠な活動です。

これらの活動を行うときには、活動内容を「安全ミーティング報告書」と呼ばれる書類に記録しておく必要があります。

「安全ミーティング報告書」は記載項目も多いため、慣れていない方や初めて記入する方はどのように書けばよいのか戸惑ってしまうこともあるでしょう。

今回は、労務安全書類(グリーンファイル)のひとつである「安全ミーティング報告書」の記入法について解説します。現場の危険性を察知して安全な現場をつくるために、記入方法を学んでいきましょう。

事故の再検証に役立つ、安全ミーティング報告書とは?

「安全ミーティング報告書」とは、労働災害を防ぐために行う安全ミーティングの内容を記入する書類で、「危険予知活動報告書」とも呼ばれています。

この書類があれば、もし労働災害が起きても活動の記録が残り、「安全対策は十分だったか?」などの再検証が可能になります。結果、再発防止に役立てることができるのです。

安全ミーティング報告書には法律上の保存期間の定めはありません。しかし、工事が完成した後、何か問題が起きた際に必要になる可能性があるので工事完成後から3〜5年ほど保管期間を設けた方がよいでしょう。

「安全ミーティング報告書」の一般的な書類様式は「改訂4版 全建統一様式 第8号」。元請負企業や作業現場によって様式が異なることもありますので、作成前に様式の確認をしておきましょう。

それでは、記入方法を解説していきます。

安全ミーティング報告書の記入例① 「作業場所・内容・方法」〜「元請からの連絡事項」まで

①“いつ、どこで、なにを、どのようにして”作業するのか?

ここでは現場で行う作業の場所、内容、方法をすべて記入します。

<記入例>
・作業日:2017年9月19日(火)
・作業場所:荷降ろし場所 2階足場など
・作業内容:鉄筋の荷降ろし、荷揚げなど
・作業方法:クレーンを使用して、運搬車から組み立て場に荷揚げ

同じ建設現場でも、天候や作業場所の広さが変わると危険要因が変化します。
記入例のように「クレーンを使用して」「運搬車から組み立て場所に」など、使用する機材や作業場など詳細も記入していきましょう。

日々変化する現場の状況を把握し、あらゆる可能性を想定しておくことで、対策を練ることができます。

②資格及び配置について

現場で資格を有する作業がある場合は、下記の項目の担当者をそれぞれ記入しなくてはいけません。

・作業主任者
・作業指揮者
・玉掛者
・合図者

担当者の名前とともに、「クレーン運転士」や「玉掛け技能講習」など、作業に必要な資格・技能講習の名前も同時に記入しましょう。

③元請からの連絡調整事項

元請負企業から、特記事項がある場合はこちらに記入します。

<記入例>
・全国安全週間の期間中のため、事故件数を減らすために通常時よりもミーティング時間を増やすこと

安全ミーティング報告書の記入例② 「実施したリスクアセスメント」について

この項目は、作業現場で起こりうる危険・事故について、ミーティングで話し合った結果を書き出します。結果をすべて記述する必要はなく、後述する見積もり基準で点数が3以上のものを記載しましょう。

<記入例>
・トラックの荷台で玉掛け作業をするとき、作業者が墜落する
・鉄筋を運搬するとき、通路を横断していた配管につまずき転倒する
・足場が揺れバランスを崩し墜落する

④重篤度の基準

リスクが実際に起きた場合に、想定される負傷の程度を記入します。度合いは以下の基準をもとに記入しましょう。

重篤度の見積り基準
受傷程度の重篤度見積り基準 点数
極めて重大(死亡・障害) 3
重大(休業災害) 2
軽微(普及災害) 1

⑤可能性の基準

「重篤度」と同じように三段階で評価し、発生する頻度について記入します。

可能性の見積り基準
災害発生の可能性の見積り基準 点数
極めて高い(よほど注意力がないと負傷する) 3
可能性がある(注意していないと負傷する) 2
ほとんどない(注意しなくてもほとんど負傷しない) 1

⑥評価点の見積りと評価

④と⑤の項目で、「重篤度」と「可能性」の点数を合算し、下記の評価基準をもとにリスクの見積りを評価します。評価基準は全建統一様式の書類にも記載されていますので、評価の見積りをする際は、そちらも参考にしてください。

危険性又は有害性の評価と危険度の判断基準
評価点の見積り 評価 判定
3+3 6 直ちに解決すべき問題がある 即座に対策が必要
3+2、2+3 5 重大な問題がある 抜本的対策が必要
2+2、1+3、3+1 4 かなり問題がある なんらかの対策が必要
1+2、2+1 3 多少問題がある 現時点では必要なし
1+1 2 問題少ない 対策の必要なし

⑦リスクの低減措置について

先述した「実施するリスクアセスメント」の項目で、評価点の見積りが3以上になったものは、リスクの低減措置を講じる必要があります。⑦の枠にそれぞれ具体的な行動を記入し、措置を行った後の「重篤度」と「可能性」を再評価して、リスク評価がどこまで下がったかを確認します。

<記入例>
・周囲の確認を徹底し、誘導員の指示に従う
・作業手順を守り、点検を怠らない
※「重篤度」「可能性」「評価点」はリスクアセスメントの点数表をもとに点数を付けます。

低減措置を講じ、それでも評価が3以上の場合は、設備の補充や教育訓練など作業環境の根本的な対策を練りましょう。

安全ミーティング報告書の記入例③ 「職長の確認事項」〜「危険作業に従事する人間のサイン」まで

⑧職長の確認事項について

現場の様子に異変を感じたり、臨時作業員が施工に参加している時など、現場が平常時と異なる場合は、記入された項目のうち当てはまるものに○をつけます。

ここでは、18歳未満の作業員は、年少者として扱います。年少者の業務には「労働時間」や「危険物や重量物の取扱業務」など多くの制限がありますので、記入の際は十分に注意してください。

また、現場によっては、高所作業の制限、単独作業の禁止などルールや制限がありますので、「特別指示」を忘れずに記入しましょう。

⑨危険作業に従事する人間のサイン

最後に安全ミーティングに参加したメンバーに氏名を記入してもらいます。氏名の横にはミーティング時に決めた危険予知番号を打つようにしましょう。

安全に近道なし!毎日記録を残すことで意識が高まる安全衛生管理

「安全ミーティング報告書」の記載方法は以上になります。
安全ミーティングの内容に直結する書類ですので、作成時は作業員全員の協力が必須です。ミーティングを行う際は意見を出し合い、危険予知の意識を高めることで、事故の防止に役立ちます。

毎日記載する書類ですのでルーティンワークになりがちですが、活発なコミュニケーションを行い、「安全ミーティング報告書」に記録して「事故件数0件」を実現しましょう。

◎そのほかの労務安全書類(グリーンファイル)作成方法はこちら
ケンセツプラスの「安全書類の書き方」シリーズ

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