日本一の鉄筋工は誰だ!?「TETSU-1グランプリ」レポート

2017年11月26日(土)に幕張メッセで「第2回 TETSU-1グランプリ」が開催されました。公益社団法人 鉄筋工事業協会による“日本一の鉄筋工は誰か?”を競う技能競技大会は、2015年の第1回以来、2年ぶりの開催となります。

今回は鉄筋業界初となるイベント「鉄筋EXPO 2017」の2日目に開催されたこともあり、規模が拡大。北は北海道から、南は沖縄まで計37名の鉄筋工が集結し、その技能を競い合いました。

一体、日本一の鉄筋工の栄冠は誰の手に!? 今回は「第2回 TETSU-1グランプリ」の模様をお届けします。

日本中の優れた鉄筋工が集結!その技能とスピードを競い合う!

全国の鉄筋工が集結

まず「TETSU-1グランプリ」のルールや概要について説明したいと思います。出場資格は、“一級鉄筋施工技能検定合格後2年経過、年齢45歳以下”とされており、鉄筋工なら誰もが参加できるわけではありません。また選手登録枠は、会員(加盟団体)枠と一般参加枠に分けられており、東京都鉄筋業協同組合、神奈川県鉄筋業協同組合、関西鉄筋工業協同組合など大きな加盟団体では予選も開催。まさに“日本一の鉄筋工”を決めるにふさわしい大会となっています。

また採点基準は以下のようになっております。

【TETSU-1グランプリ採点基準】
1.図面の読み違い(柱、はりの方向等)は失格とします
2.材料の使用間違いは失格とします
3.作業時間は1時間20分を標準時間とし、1時間40分を超過した場合は失格とします
4.採点は「精度得点」と「作業時間得点」の合計得点で順位を決定します
5.得点合計が同じ場合は、精度得点を優先します

 

事前に与えられた競技課題の図面をもとに「精度得点」と「作業時間得点」で争います。

●競技課題の確認はこちらから

開会式では、沖縄県鉄筋工事業協同組合の玉城正則選手【(株)大宥鉄筋工業】による選手宣誓が行われ、会場のボルテージも徐々に高まっていきます。

TETSU-1の応援<出場選手の同僚も応援に駆けつけ、固唾を呑んで見守っていました>

編集部の勝手に優勝候補予測

「第1回 TETSU-1グランプリ」の制した松田優作さん【飛田鉄筋工業株式会社】は、協同組合東京鉄筋工業協会の代表でした。今回、松田優作さんは出場されていませんでしたが、同協会の代表として選出された森島直高選手【藤工業(株)】を本命に推したいと思います。また対抗として、関西鉄筋工業協同組合の予選を優勝した“関西の雄”谷口 圭選手【富田興業(株)】。さらに神奈川県鉄筋協同組合の小林 隆選手【(有)サンワ工業】も、予選で勝ち抜いての2大会連続出場。この3選手のどなたかが優勝すると予測しますが、結果や如何に?

日本一の鉄筋工を目指す熱き戦いがスタート!

「TETSU-1」における鉄筋工の勇姿

いよいよスタートした「第2回TETSU-1グランプリ」。入念な材料確認の後、競技が前半組と後半組の2組に分かれて競技します。標準時間が1時間20分に設定されているため、選手はその時間を意識しながらも、丁寧な作業が求められます。
組み立て順に材料を整理する選手、とにかく結束を進めていく選手。各選手が建設的思考で作戦を練っており、非常に興味深いスタートでした。

谷口圭さんデディ・ワルメン

 

 

 

 

 

<編集部注目の谷口 圭選手(写真左)と熊本県鉄筋工事業協同組合のデディ・ワルメン選手【(株)古閑鉄筋工業】>

普段の作業速度より大幅に早くしてしまうと精度が低くなってしまう恐れがあります。またこれだけのギャラリーに注目されながら作業をする経験はほとんどの選手がないはず。会場に訪れていた全体会優勝者の松田優作さんはこうコメントします。

「前回より規模が大きくなっているので、出場選手も緊張しているのではないでしょうか。前回、僕はとにかく普段どおりの自分を出すことを心がけていましたが、今回は難しいかもしれません」(松田優作さん)

少しでも作業手順を間違ったりすると、頭が混乱してしまうような緊張感のなか、スタートから30分もすると徐々に仕上がりに差が出てきました。

「TETSU-1」の組み立て風景<大勢のギャラリーに囲まれた中での競技。プレッシャーとの勝負>

そんな中、ある選手の結束スピードにギャラリーから「早いっ!」と驚きの声があがりました。

“北のスピードスター”が驚異の60分21秒を記録!

鉄筋工の北川太一選手<北川太一選手【古沢工業(株)】は驚異の結束スピードを披露>

他を圧倒するスピードを見せつけたのは、北海道鉄筋協同組合の北川太一選手【古沢工業(株)】。頭の中での組み立ても早いのでしょう。次から次へと結束していく姿はまさに“北のスピードスター”。早い選手でも62分台のなか圧倒的なスピードを見せつけました。完成が近くなるにつれ、「60分切るんじゃないか」と会場もざわつきましたが、結果的には60分21秒で完成。「作業時間得点」で見ると北川太一は37名中トップを記録し、優位に立ちます。

最速タイムで完成驚異の結束技術
<北川太一さんは全選手のなかでもトップの60分21秒を記録>

他に大きな注目を集めていたのは、「女性の地位向上のため、男性に負けずにがんばりたい」と抱負を述べていた愛知鉄筋協同組合の林 奈緒子選手【(株)ディビーエス】。そして、今大会一の応援団を駆けつけていた茨城鉄筋協同組合の小田英明選手【(株)大平組】など。

全国から屈指の鉄筋工が集まっているだけあって、37選手それぞれに背負っている背景があります。夢があります。ひとつひとつの結束に思いが込められている。そんな気迫が伝わる競技時間でした。

精度の審査は非常に厳格に

「TETSU-1」の計測風景審査は採点員も全国の鉄筋工の方々が行います。平行や直角などの精度を国家検定より厳しい基準で、ミリ単位で仕上がりの精度を確認していきます。スピードさに加え、仕上がりの精度のバランスが結果にどのように左右するのでしょうか。

 
 
 

日本一の鉄筋工の栄冠は誰の手に!?

鉄筋工の全国上位3名<写真右から、谷口 圭選手、立野匡昭選手、渡辺博一選手>

さて、いよいよ表彰式です。全選手とギャラリーが固唾を呑んで見守るなか、発表された結果は以下の通りとなりました。

1位 谷口 圭選手【富田興業(株)】/関西鉄筋工業協同組合
2位 立野匡昭選手【(有)長友鉄筋工業】/静岡県鉄筋業協同組合
3位 渡辺博一選手【(有)SUN鋼業】/新潟県鉄筋業協同組合

優勝した谷口 圭選手は目に涙を見せながら、会社や仲間に感謝を述べたあと

「全国にはまだまだ僕よりすごい鉄筋工の皆さんがいると思うので、明日からまた精進して結束していきます!」(谷口 圭選手)

とコメント。速度がトップクラスで、仕上がりの精度も抜群だった谷口 圭選手。普段とは異なる緊張感がある大舞台で見事にその技量を発揮してくれました。規模が拡大され、注目度も高まった「TETSU-1グランプリ」を見て、「来年は俺も!」と意気込んだ腕自慢の鉄筋工もいらっしゃるのではないでしょうか。

また公益社団法人 全国鉄筋工事協会の副会長である舘岡正一氏による言葉も印象的でした。

「鉄筋は結束が命です。鉄筋工の仕事は、最終的にはコンクリートで隠れてしまいます。我々の仕事は目に見えないけれども、国民の安心と安全を守っているという誇りが持って臨みましょう!」(舘岡正一氏)

目に見えない部分で、建物を支え、安心と安全を生み出す。この鉄筋工の誇り高い仕事と技術が「TETSU-1グランプリ」で多くの人が触れることができたのは、非常に意義深いものではないでしょうか。また全国の鉄筋工、特に若い職人の目標となる舞台が生まれたことも、担い手確保・定着率によい影響を与えるはず。次回の開催が早くも待ち遠しくなる素晴らしい大会でした。

最後に……ケンセツプラス編集部の勝手に表彰

3位までに入られた方以外にも、会場を沸かせてくれた選手が多くいらっしゃいました。皆さん全員をご紹介するのは難しいため、最後に編集部の独断と偏見で表彰させていただきたいと思います。

【チームの“結束力”が強いで賞】
(株)大平組の皆さん/茨城県鉄筋業協同組合

大平組
鉄筋は結束が命!ということで、今回ケンセツプラスで表彰をしたいのは、お揃いの青のハッピで熱狂的な応援を見せ、会場を盛り上げてくれた(株)大平組の皆さん。仲間のために集まり、声援を贈る姿や、競技時間外に皆さんで「鉄筋EXPO 2017」のブースを見て回る姿もあり、鉄筋工ならでの“結束力”を示してくれました。

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