「やってやる」の精神が、職人を一人前に変える。鉄筋一筋に生きる国重工業の信念

埼玉県熊谷市に事務所を構え、建築現場を支える礎となる鉄筋加工・組立のトータルサービスを行っている国重工業株式会社。徹底した安全管理と迅速な対応、そして品質の高い加工・施工技術は高く評価されており、大手ゼネコンをはじめとした様々な企業から仕事を受注しています。

今回はご登場頂くのは、取締役副社長を務める小森谷隆さん(写真右)と、ベテラン技能者である小林克宣さん(写真左)。実は小林さんは、20年以上にわたり同社に勤務し続け、技能を磨き続けてきたのだと言います。

その長い歴史の裏には、どんなドラマが隠されているのでしょうか。話を聞きました。

「早く一人前になろう」と思わせてくれた、親方の言葉

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―小林さんは、何をきっかけとして建設業界で働き始めたのですか?

小林:私は元々、普通高校を卒業した後に2年ほど別の業界で働いていたんです。その後、実家の近所に建設業界の知り合いがいたので、そのご縁もあって建設業界へ転職しました。

―そこから、がむしゃらに働いて技能を身につけてきたと思うのですが、一番初めに現場を任されたのは何歳くらいの頃だったか覚えていますか?

小林:26歳か27歳くらいの頃でしたね。それほど大きい現場ではなかったのですが、本当に嬉しかったのをよく覚えています。

―ということは、建設業界で働き始めてから6~7年くらいで現場を任されるようになったわけですね。これは、かなり早いと思いますが、小森谷さんどうでしょうか?

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小森谷:そうですね。相当に早いと思います。通常、鉄筋を扱う職人が一人前になるまでは、10年くらいは必要になるんです。

まず、一人前になるためには図面を読めるようになることが大前提ですが、現場での経験をある程度積んでいなければ、図面の内容をきちんと理解できるようには決してなりません。

それに、実際に色々な現場に入ってみると、建物の構造とか、配置されている場所の条件などによって、図面だけでは想定できなかったようなトラブルが起こったりします。鉄筋の取り付けをしてみたら、図面通りではサイズが合わないなんていうこともザラに起きるんです。そういったトラブルを防ぐためには、職人が長年にわたり積み上げてきた経験値がモノを言います。

―それらのスキルを全て身につけるために、普通は10年もの歳月が必要だということですね。にも関わらず、小林さんが非常に短期間で一人前になれたのは、なぜだと思いますか?

小林:私はすごく負けず嫌いだったんですよね。だから、働き始めたばかりの頃から、「絶対に早く一人前になってやる」という気持ちで、日々の仕事を手を抜かずやっていました。

それに、国重工業に入って、最初についた親方の教育がすごく良かったと思うんです。「鉄筋の仕事を今後も続けていくのであれば、人に指示されるだけではなくて、他の人に指示できるくらいに立派にならなければ駄目だよ」と言ってくれていたんですよね。

その影響を受けて、早く一人前になれるようにと目標設定ができたのはすごく大きかったと思っています。親方が、自分の都合の良い様に部下を囲うのではく、自立できるように育ててくれた。それって、簡単なようでなかなかできないことだと思うんです。

困難さを乗り越えることが、成長に繋がる

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▲国重工業の事務所の裏手には倉庫があり、その中には数多くの鉄筋がうず高く積み上げられている。これらが職人たちの手によって加工・取りつけされることで、文字通りに建造物を支える“骨格”となるのだ。

―今までのキャリアの中で、特に印象に残っている現場はありますか?

小林:私が28歳か29歳くらいの頃に任された、埼玉県の大宮の現場ですかね。その現場は施工の難易度がとにかく高くて手間もかかり、想定されていた工期に間に合わせることがかなり困難だったことをよく覚えています。

―その状況を、どうやって乗り越えたのですか?

小林:とにかく自分が手を動して仕事を終わらせなくてはと思って、必死に働いていましたね。夜も遅くまで残業していましたし、日曜日も稼働していたこともありました。相当にしんどかったですよ。でも、頑張った甲斐あって、無事にその現場は工期通り仕事を終えることができたんです。

―その責任感の強さは、本当に素晴らしいものがありますね。その案件を通じて、どのようなことを得られたと思いますか?

小林:それだけ難易度の高い現場をやり遂げたことで、自分に自信がついたと思います。それから、周囲の人たちから信頼してもらえたのは嬉しかったです。実は、その大宮の現場で一緒に仕事をしていた所長や現場監督にすごく気に入ってもらえて、今でもずっと付き合いがあるんですよ。

―困難な仕事を、一生懸命やり遂げた者だからこそ味わえる感覚ですね。

小林:そうですね。もちろん、当時は現場を1人で任されるようになってからまだ1~2年くらいだったので、今よりはスキルが低かったこともあり仕事を終わらせることは簡単ではなかったです。けれど、「任されたからにはやってやる」という気持ちを持って取り組めたことが、職人としての大きな成長に繋がったように思いますね。

“覚悟”こそが、職人を一人前にする

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―最後になりますが、これから建設業界の未来を担う若手を、どのように育成しているか。また、若手にどのようなことを期待しているかなど、お伺いできればと思います。

小森谷:若手には、仕事に必要な資格はなるべく取らせるようにしています。単なる作業員のままで終わってほしくないですし、他の人を指導できるような立場に育ってほしいとも思っているからです。

近年、建設業界全体で若者の定着率があまり良くない状態が続いています。ですが、これから業界の未来を担っていくのは彼らですから、やはり何かしらの方法できちんと育成していく必要があるということは強く感じていますね。

―そんな若手に対して、小林さんから何かアドバイスはありますか?

小林:アドバイスというほどのものじゃないですが、仕事において大変な場面に直面したときに「自分にはできないだろうな」と諦めるのではなく、「何がなんでもやり遂げてやるんだ」という気概を持ってほしいなと考えています。

この仕事をやっていると、精神的にも体力的にも苦しい局面というのが何度もやってきます。その局面を、自分なりに力を振り絞って乗り越えたときに、本当の意味での実力や周囲からの信頼が得られるんです。一人前になるっていうのは、“覚悟”の必要なことなんだよっていうことを、理解してもらえたらいいなと思っていますね。

―小林さん自身が、苦しい現場を乗り越え、職人として大きく成長できたからこそ、その言葉は強い説得力を持っていますね。今回は本当にありがとうございました!

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