「建設業は男の世界」はもう古い?じゅうたく小町に聞く、女性技能者が働きやすい現場とは

建設業界にも男女雇用機会均等法の影響が現れ、現場では徐々に女性の技術者や現場監督の姿が目立ちはじめました。

女性が建設業界で活躍するためには何が必要なのでしょうか?今回は、女性技能者の活躍を目的に活動する「じゅうたく小町」の方々に、女性技能者から見た建設業界と、女性が働きやすい現場をつくるための秘訣を伺いました。

女性技能者の活躍を応援する「じゅうたく小町」とは?

平成27年に活動が始まった「じゅうたく小町」は、関東地方の住宅メーカーに勤める方がメンバーとなり、女性技能者の意見交換会などを行っています。

今回お話を聞いたのは、じゅうたく小町部会長の前田直子さんと副部会長の三幣涼子さん。ともに現場監督として働くおふたりに話を伺いたいと思います。

– じゅうたく小町の活動目的は、女性技能者の活躍促進だとお聞きしましたが、具体的にはどのようなことを行っているんですか?

前田直子さん(以下、前田):じゅうたく小町は、女性技能者の横のつながりを作ることを目的としたコミュニティです。月1回の部会を行い、「キャリア」「労働環境」「広報」の3つのグループに分かれて意見交換会を行っています。

女性技能者の数はまだ少なくて、たとえば大手住宅メーカーの大和ハウスでも全国で100名ほど、積水ハウスで80名ほどしかいないんです。

– 大手メーカーでもそんなに少ないんですね!

前田:そうなんです。職場に女性がいないことが普通なんですよ。女性だからこその悩みを相談できる人が職場にいなくて、悩んでいる女性技能者が多いという背景から、活動が始まりました。

– 活動に参加している方々の年齢層や人数はどれくらいですか?

三幣涼子さん(以下、三幣):年齢は20代後半が中心で、建設業界に入って5〜6年目くらいの人が多いですね。参加している人数は60名ほどで、そのうちコアメンバーは25名ほどでしょうか。

前田:メンバーのみなさんも職場で女性に会えない辛さを抱えていたようです。逆の立場を考えてもらうと分かりやすいと思うんですけど、女性10人のグループの中に男性が1人だけ入ったら気苦労も多いと思うんです。同性だから「あるある」と思える業界の悩みもあるので、「悩みを共有できることがすごく嬉しい」という声も挙がっています。

女性は意外に働きやすい?女性から見た建設業界

– 先ほど女性だからこその悩みとおっしゃっていましたが、どのような悩みが多いのでしょうか?

三幣:近年は聞くに耐えない下ネタやセクハラなどは減りつつあるので、多いのは育児ですね。ほかに労働環境や将来のキャリア、身近なところだとトイレの問題なんかもあります。

– 育児や労働環境は想像がつきましたが、トイレもですか?

三幣:そうです。住宅メーカーだと敷地が少なかったりするので、スペースの都合で男女別にトイレを設置できないんです。そういう時は近くのコンビニに借りに行ったりしなければなりません。

– なるほど。育児やトイレなどの悩みのほかに、体力面の悩みも多そうですよね。男性に比べると女性は体力がないイメージがあります。

前田:体力面は意外と大変じゃないよね。

三幣:そうですね。

前田:筋力は男性に負けますけど、持久力という意味では男女差は感じません。重いものは男性が気を遣ってくれることも多いですし、「女性だから」と甘く見られることも少ないです。

三幣:最近は「女性だから」と接し方を変える人はほとんど見かけないですね。土木や公共建築だとまた違うかもしれないんですが、住宅関係の職人さんは、施主さんをはじめ人と接する機会が多いので、人当たりが良い方も多いですよ。

最近はパワハラ、セクハラに対する世の中の視線も厳しくなってきましたし、そういう話はあまり聞いたことがないですね。逆に女性だから得をすることもあります。たとえば女性監督だと施主さんから喜ばれることが多いんです。

– と言いますと?

三幣:施行中の連絡や、たまに平日にお宅にお打ち合わせなどで伺う際に、安心感があると言われますね。

入居後に点検や確認で伺う際に、奥様のみでも安心して迎え入れてくださいます。旦那さんは働いてらっしゃる方が多いので、奥様と1対1になることがほとんどなんです。見知らぬ男性と自宅で話すのは少し不安になるじゃないですか。そういう時に女性だと喜ばれます。

施主の奥様とのメールのやり取りも絵文字が使われていたりして、心を開いてくれる方が多い。なので、女性だから大変ということは少なくて、むしろ得をすることも多いんですよ。

前田:ほかに、現場に関わる人とのコミュニケーションも円滑になることが多いですね。住宅メーカーは施工現場が住宅街にあることも多く、人目に付きやすいんですね。だからスムーズに工事を進めるために、施主さんをはじめ、近隣の方・職人さんとのコミュニケーションが大切なんです。

男性の現場監督の中には見た目が怖い方もいるので、「色々聞きやすい」「女性でよかった」という意見は多いですよ。

– やはり女性の細かな気遣いが喜ばれているんでしょうか?

前田:私はそうは思わないですね。女性も男性も細かな気遣いができる人とそうじゃない人がいる。たとえば、部屋の片付けができる人に性差はないですよね。私も片付けは苦手ですし、どちらかといえば大雑把なほうです。そこに性差はないんじゃないかな。

– たしかに!お話を聞いていると、女性だから、男性だからと勝手に思い込んでいることもありますよね。女性が働きやすい業界を作るためには、女性ならではの特長と、男女ともに共通すること、その両方を再認識しないといけないのかもしれません。

10年で変わった建設業界、大手では女性の管理職登用も

– ところで、前田さんと三幣さんはどのような経緯で建設業界に入られたんですか?

前田:私は大学で建築学を学んで大学院まで進学しました。もともと伝統的木造建築の仕口接合部や土壁等の構法の研究をしていたんですが、大学院を修了する間際「これからどうしよう」と考えて、「このまま部屋にこもりたくないな」と思ったんです。体を動かしたいなと思いましたし、設計図を描くだけじゃなくて現場に出向いて働きたいなと。それで建設業界に入ったんです。

三幣:私も大学で設計を学んでいて、卒業後に建設業界に進みました。会社に就職後も設計部門で働いていましたが、施工現場での研修を積むなかで、「やっぱり現場がいいな」と感じて、それで現場監督として働くようになりました。当時は今よりも女性技能者が少なかったので驚かれましたけど(笑)

前田:当時を思い出すと時代は変わったなと思います。私たちが就活をしていた時は、説明会に行くと「女性は現場に出しません」と言われることも多かった。でも、ここ10年くらいかな?だんだんと業界の意識も変わってきていますね。

男女雇用均等法が出てから建設業界も変化していて、会社としてイメージアップにもつながるから、土木・住宅・ゼネコンを問わず、女性を活躍させたいと考えている企業は多いですよ。最近は、管理職に女性が起用されることもあるんです。

– 業界も女性の登用に積極的になっているんですね。

「女性」ではなく「個人」として見てくれると働きやすい

– 最後に、女性が働きやすい現場をつくるために、男性にしてほしいことを教えてもらえますか?

前田:私は、女性だから特別やさしくする必要も無いし、特別厳しくする必要もないと思っています。仕事なので、自分だけ特別視されるのは逆に辛いんです。だから男性の監督と同じように接してほしいですね。女性というくくりではなく、ひとりの「人」として接してくれればとても嬉しいです。

三幣:私も女性だからと気にしすぎないで欲しいと考えています。
仕事の失敗を「女だから」と許されてしまったり、逆に成果が出ても「女だから」と認められなかったりするのは悔しいじゃないですか。

もしかしたら年上の男性の方々は、女性技能者と自分の娘を重ね合わせて、ついつい可愛がってしまうかもしれないんですけど(笑)。男も女も同じ土俵でチャレンジさせてほしいですし、それを実現するためには、現場の個々人の協力はもちろん、会社の協力が不可欠だと思います。

– 今回お話を聞かせていただいて、「男性だから〇〇だ」「女性だから■■だろう」と思い込んでいることは多いのかもしれないと思いました。

男性も女性も、性格や仕事に対する姿勢は様々ですから、あまり「〇〇だから」と思いこまずに個々人と向き合うことで働きやすい現場がつくられていくのかもしれません。本日はお話を聞かせていただき、どうもありがとうございました。

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