建設業界の“お悩み相談室”を目指して。施工管理技士SNS「現場の神様」インタビュー

「建設業界はタテ社会だ」。業界で働いていると、そんな話を聞くことはないでしょうか。
重層下請けによる会社間の関係をはじめ、職人気質の方も多い業界なので、現場の個人間でも上下関係が厳しくなってしまいます。

そうなると、受注先と請負先という関係を気にして言いたいことが言えなかったり、上司や後輩にも悩みを打ち明けづらくなったりしてしまいがち。せめて相談できる相手が近くにいれば……と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

そんな現場の悩みを対等な立場で共有できるWebサイトが「現場の神様」です。施工管理技士のSNSとして生まれた同サイトには、日夜、建築現場に勤める方々から仕事の相談が書き込まれ、多くの回答が集まっています。

今回はこのサイトを運営するC4株式会社のWebマーケター、近藤ちひろさんから「現場の神様」と、施工管理技士の課題解決をテーマにした姉妹サイトであるメディア「施工の神様」についてお話を伺いました。

現場で働く人々のリアルな悩みを共有したい

C4株式会社は「現場の神様」と「施工の神様」を公開する前に、施工管理技士の転職サイト「施工管理求人ナビ」を運営していました。全国に45万人の登録者がいるこのサイトを運営する中で、気付いたのが業界内で横のつながりが薄いことだったそうです。

「施工管理求人ナビを利用されている方の声を聞くと、『同僚や上司が転職するから一緒に』という形で転職される方が多かったんです。もっと良い条件の転職先はたくさんあるのに、情報が少ないからたまたま出会った人の口コミが判断材料になっていました」

さらに話を聞いていくと情報の地域格差が大きく、情報が限られることから、「ここを辞めたら次はない」と我慢をしながら仕事を進めている人も多いことが分かったそうです。

「この状況を知った時に、現場で働く人達がお互いに情報交換できる場を作りたいと思ったんです。同業者に相談したり、オープンな情報にアクセスできたりすれば、施工管理技士のみなさんも条件の良い会社に転職しやすくなる。転職以外にも、仕事のノウハウの共有ができたらいい。実現すれば、業界内で働く方々の地位向上につながるのでは?と考えました」

同社がこのサイトを立ち上げる時に意識したのは、徹底的に現場目線に立つこと。「現場で起きるリアルな悩みを業界に共有したい」そんな思いから2つのサイトは生まれたのです。

匿名だから相談できることもある

かくして、「現場の神様」は現場のリアルな悩みや声を集めるSNSサイトとして、「施工の神様」は現場の課題を解決するために「失敗談」や「ノウハウ」を共有するWebマガジンとして立ち上げが進められ、無事公開されました。

「現場の神様を立ち上げた後、『フラットに仕事の相談や議論ができる場ができて、ありがたい』という声が届いた時は嬉しかったです。

印象深かったのはSNSサイトの『現場の神様』に書き込まれた、ある相談でした。深夜、施工図の書き方についてその質問が書き込まれたんです。同僚の人達もみんな帰ってしまって周りに相談できる相手がいなかったと思うんですが、その質問に親切に答えてくれる人が現れました。きっと『同じ業界に関わる仲間だから助けてあげたい』という思いだったのでしょう」

こうした助け合いは、「現場の神様」の中でよく見られると近藤さんは言います。
インターネットは匿名の世界です。画面の向こうに誰がいるか分かりづらいものですが、だからこそ肩書きや立場を超えて助け合うこともできるのではないでしょうか。

失敗を共有できる場を作るために

姉妹サイトの「施工の神様」にも公開後、業界内から大きな反響があったと言います。

「『施工の神様』は、失敗談やノウハウの共有をテーマに記事を更新しているWebマガジンです。失敗体験は隠したがるものですし、職人気質の人が多い業界ですから、ノウハウもなかなか共有されづらいものですよね。それらのアクセスしづらい情報の中には、現場で働く方々に役立つものが含まれているのではないでしょうか。

今までの建設メディアは現場の課題感や悩みにフォーカスしているものは少なかったと思います。施工の神様記事の中には、『これ、大丈夫かな?』というきわどいテーマを扱ったものもありますが、<神様>と名乗るからには清濁を併せ飲んで、業界のために議論が生まれればいい。そう思って現場目線を貫いています(笑)」

現場の課題に向き合い記事を通して解決方法を提示する。そのために、時にはヘルメットをかぶり現場に出向いて声を聞く。地道なリサーチから生まれた記事は、「工期短縮のコツ」や「施工の改善案」をテーマにしたもののほかに、「女性現場監督の悩みシリーズ」など、様々なテーマで書かれています。

これらの記事を見て、「こういう悩み、あるある!」という共感の声が読者から届き、国交省の方からも、お褒めの言葉を頂戴するそうです。

「行政や企業の方々にもインタビューさせてもらっていますが、取材・執筆の時もあくまで現場目線。良いところだけでなく、現場で役立つと思えば失敗談も伝えます。そのスタンスが伝わったのか、役所の方からも『立場上、本当は言いたいけど言えなかったことを代弁してくれている』と感想をお聞きした時は嬉しかったですね」

施工の神様では、読者の方からの記事投稿も随時募集しているそうです。ちょっとした体験談も投稿可能なので、業界の方に投げかけたいことがある方はネタを投稿してみてはいかがでしょうか。

逃げ場があると、少しだけ気持ちが楽になるかもしれない

インターネットは画面の向こうに誰がいるか分からない、と考えている方も多いかもしれません。しかし、相手の情報が限られるからこそ、対等な立場で話したり助け合えたりできる可能性も持っています。

現実では上下関係や利害がからみ話しづらいことも、パソコンやスマホを通してなら話し合えるかもしれない。悩みや辛いことを吐き出せる場所がひとつあるだけで、気持ちが楽になる人もきっといるはず。

仕事が辛い、困ったことがある、そんな時には周りの人だけでなく、同業界で働く匿名の仲間に助けを求めて、スマホやパソコンに思いを書き込んでみても良いかもしれません。

◎現場の神様のWebサイト⇒https://www.genba-kamisama.jp/
◎施工の神様のWebサイト⇒https://sekokan-navi.jp/magazine/
◎施工管理求人ナビのWebサイト⇒https://sekokan-navi.jp/

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