「スーツだけど作業着です。」建設現場のイメージを変える!話題のワークウェアスーツを着てみた

2019年4月から「働き方改革関連法」が順次施行されることにともない、数年前から各企業は働き方の改善に着手。その結果、長く減少傾向が続いていた建設業界の就労人口も回復傾向にあります。

しかし依然、深刻な問題となっているのが、高齢化にともなう、若手の現場作業員の人手不足です。個々の企業でさまざまな施策を打っていますが、特に中小の建設関連企業の多くは新卒採用に変わらず苦労しているのが現状です。

そうした状況を打破すべく、株式会社オアシスソリューションは、まずは現場のイメージを変えようと、独自のワークウェア“スーツに見える作業着”をつくって社のユニフォームとして導入。新卒採用の状況は改善の兆しを見せ、2018年度は前年度に比べ約3倍の採用に成功したといいます。

見た目はスーツだけど、機能は作業着。建設現場のイメージを変える、ユニークなワークウェアについて、同商品の製造・販売を担う株式会社オアシススタイルウェアの広報、岩見祐香さんにお話を伺いました。

はじまりは、デートにも使える作業着!?


株式会社オアシススタイルウェアの広報、岩見祐香さん

――はじめに、オアシスライフスタイルグループについて教えてください。

「オアシスライフスタイルグループは、現在、株式会社オアシスソリューション、株式会社オアシスティーラウンジ、株式会社オアシスティースタンド、株式会社オアシススタイルウェアの4社がグループ会社として連携し運営しております。それぞれ業種が違うのですが、この中でも2006年に設立したオアシスソリューションが私たちの創立事業になります。

オアシスソリューションは、マンションの水道まわりのメンテナンスを主事業としています。建設業界でもニッチな産業ではありますが、確実に需要はあり、業績も伸ばしてきましたが、ほかの同業者同様、若手作業員の採用には長年、苦労していました

そこで2015年に、ちょうど社の10周年プロジェクトとして、会社として本気で若者離れを食い止めようと考え、自社のユニフォームを作るという今回のプロジェクトがはじまりました」

――プロジェクトはどのように進められたのでしょうか?

「社内の若手にいろいろとリサーチしたところ、現場の作業着のイメージが悪いという意見が多く聞かれました。私たちの水道まわりのメンテナンス業務でも作業着はあり、技術員は会社で着替えて各現場に行きます。その作業着が思いのほか、評判が良くないんですね。いちいち着替えないといけないのが面倒だし、できることなら家から帰宅するまで、同じ服で過ごしたいけれど、作業着のまま通勤したり、呑みにいったりすることはできないと。

そこで“仕事でもプライベートでも着られる作業着”をつくろうというのが、最初のコンセプトになります。かっこいい作業着があれば、採用では他社との差別化を図り、同時に社員のモチベーションを上げることができるのではと考えました」

――つまり、最初は販売目的ではなく、社内のユニフォームを変えることが目的だったのですね。

「はい。しかしとりあえずプロジェクトは立ち上がったものの、そもそも自分たちにアパレルの知識なんてありませんので知り合いのアパレル会社に相談しながらの作業で、最初はかなり苦労しました。上下デニムのワークウェアや、夏用に半袖半ズボンの作業着など、いろいろなアイディアは出るけれど、どれも今ひとつしっくりこない。そんなとき、現在の代表であり、当時はオアシスソリューションの人事を担当していた中村から、『デートでも着られる作業着にしよう』『デートに行くならやっぱりスーツがいい』という無茶振りがあり(笑)。でもいろいろ話し合った結果、最終的には中村が考えたスーツ型ワークウェアのコンセプトでいこうということになりました。そうして完成したのが、ワークウェアスーツです」

これまでの作業着から変えても違和感なく使えること

――ワークウェアスーツを開発するにあたり、こだわったのはどのような点ですか?

「見た目を変えることが目的ではありますが、現場の作業着である以上、やはり機能性を損なわないことが大前提になります。したがって、現場の作業に求められる機能性については、かなり追求しました。

その中でもこだわった点は大きくふたつあります。ひとつは、生地。スーツとしても使えるけれど、本業は現場の作業なので、動きやすいストレッチ性や、磨耗にも強い耐久性、そのほかにも撥水性などを兼ね備えた生地を、全国から100生地くらい集めて比較しました。最終的には約2年間、毎日洗濯機で洗っても先の3つの機能性がある程度保障された、スポーツウェアとしても使用されるような生地を採用しました」

――とくに夏場は、毎日洗うことも多いかと思うので、作業着としては嬉しい機能ですね。

「さらにワークウェアスーツは、夜に家へ帰って洗濯機で洗っても朝には乾くほどの速乾性があります。この速乾性も、現場の声から考慮したポイントです。

もうひとつこだわったのが、使いやすさです。見た目はスーツなのですが、細かいところに工具を収納するジッパー付きのポケットを付けたり、タオルなどが出し入れしやすいポケットの形状を考えたり、さらに現場の動きを考慮してジッパーの向きまでこだわって設計しました。これまでの作業着からワークウェアスーツに変えても、機能や性能面で違和感なく使えること。この点は絶対に守らないといけないポイントでしたので、現場で作業員などに実際に使用してもらいながらテストを繰り返して追求しました」

“概ね不評だった”スーツが新卒採用を変えた!?

――実際に現場からの評判はどうでしたか?

「社のユニフォームとして導入したのが2017年の秋頃。実際の使用感などは何度もテストしたので、現場からクレームはなかったのですが、導入するにあたり戸惑いはありました。たとえば作業着だとキャップをかぶってもOKでしたが、スーツ型だとキャップは合わないですよね。言い方は悪いですが、作業着であれば髪がボサボサでも、無精髭が生えていても気にならなかったのが、ワークウェアスーツを着ると気になりはじめて、元の作業着に戻したいという意見も聞かれました

でも身だしなみについては以前から気をつけようと、現場の作業員も含めて全社員に伝えていたことではあったんですね。水道工事業の現場はご自宅であることが多く、お客さまの家にあがってご説明をしたり、お客さまのいる前で作業をしたりする場面も少なくありません。その点において身だしなみは営業同様に大切だと考えていました。しかし、どうしても作業が優先だと身だしなみまで気にする人は少なく、会社も容認していましたが、ワークウェアスーツを導入して2〜3カ月くらい経つと、自然と作業員みずから少しずつ身だしなみを気にするようになりました。服を変えたことで、社員の意識も変わってきたことは、会社としては良い意味で想定外のことでした」

――見た目は想像以上に大切なのかもしれませんね。周囲の反応はどうでしたか?

「導入当初、テレビなどで紹介していただいたときは、“作業着を侮辱している”、“スーツである必要があるのか”など批判的なコメントが多く、概ね不評でした(笑)。ネット上でも賛否両論でしたね。

でも半年くらい経った頃からお客さまからの評判は良くなっていきました。同じ作業やコミュニケーションをしていても、少し無骨に思える作業着と比べて、スーツを着ている人のほうが清潔感や安心感があるなど、前向きな意見が少しずつ聞かれるようになりました」

――結果的にワークウェアスーツは顧客満足度を高めることにもつながったのですね。

「そうですね。それに口コミで同業者からお声がけいただくようになったのもこの頃でした。当初は他社との差別化と、作業員のモチベーションアップをねらったプロジェクトでしたが、結果的に顧客満足度を高め、取り組みそのものが話題となって問い合わせが増えてきたことを受け、ワークウェアスーツを商品化して販売することになりました。その事業を引き継いだのが、グループとしては4つめとなる株式会社オアシススタイルウェアです」

――当初の目的のひとつでもあった、新卒採用に効果はありましたか?

「おかげさまで2019年度は前年度に比べて3倍の新卒採用に成功しました。全社的に若手の採用には力を入れていることもあり、すべてがワークウェアスーツの効果ではないとは思いますが、新卒や若手社員の声を聞くと、少なからず効果はあったと実感しています。

なかには、まったく業種が違う男性の方がこのワークウェアスーツの存在と取り組みを知って『おもしろい会社だな』と思ったらしく、中途採用で応募してくれたこともありました。その人は現在、現場の技術員として働いています。

同業者の問い合わせは多いことから、同じ課題を抱えている会社が多いのでしょう。今後はさらにラインナップを充実させていきながら、少しでもこのワークウェアスーツが業界のイメージを変える一助になれたら嬉しいですね」

――なるほど。いろいろな相乗効果も生まれているのですね。本日はお忙しいところありがとうございました。

【検証】ワークウェアスーツの着心地は?

ワークウェアスーツの最大の特徴は、作業着でありながら見た目はスーツであること。そこで今回は普段からスーツを着て働かれている方に、見た目の印象や着心地を検証してもらいました。

身長170cm、体重79kgの小野孝幸さん。お腹まわりがちょっとぽっちゃりしていますが、定期的に運動していることから体格はがっしりとしています。IT 企業の営業(セールス)担当としてクライアントと対面することも多く、社内外を駆けまわる毎日。今回は、そんな小野さんに実際にワークウェアスーツを着てもらいました。

――第一印象は?

「作業着と聞いていたけれど『どう見てもスーツやん!』と思いました。しかも、シルエットがシュッとした細身でスタイリッシュ。本当に“見た目”は普通のスーツです。中にTシャツを着たカジュアルなコーディネイトにも合います。もしかしたらこれまでの作業着からこのワークウェアスーツを着て作業すると、お客さまの中には、最初は『営業の人が来た』と勘違いされた方もいるのではないでしょうか。これなら家から着て通勤しても、現場からそのまま呑みにも行けそうですね

――着心地はどうですか?

肌さわりがよくて、心地いいです。細身なので少しきついかなと心配しましたが、生地にストレッチ性があるので、僕の体格でLサイズでも、シルエットを崩すことなく着ることができました。通気性も良く、夏でも快適に過ごせそうです

屈伸しても生地が適度に伸びるので、窮屈な感覚はありません。本当にジャージのようで、このまま子どもと遊んだり、大好きなサッカーもできそうです。それくらい、ストレッチ性が効いているということ。着心地はとても軽いという印象です」

――機能性については?

「逆に普通のスーツにはないポケットやジッパーなどがあり、現場の作業のことがよく考慮されていることが伺えます。たとえば、ベルト部分にある鍵などを掛けられるフックのようなものや、携帯も収納できる少し大き目の胸ポケットなどは便利そうですね。個人的には、建設現場の人間ではない、僕のような営業セールスのサラリーマンが着て仕事をしても、まったく違和感はないように思います。むしろ建設現場で耐えられるような強さに快適性を兼ね備えているとなると、建設関連以外の人も、選択肢に入れてもよいのではないでしょうか。とにかく着心地が軽くて、快適でした!」

普段スーツを着て街中を動き回る営業マンにもおすすめ!

見た目は、少し細めのシルエットのスーツ。しかし、生地は通気性やストレッチ性に優れ、パンツの裾はジョガーパンツのような仕上がりにするなど、現場での動きやすさが細部に考慮されたワークウェアスーツ。注目すべきは、洗濯機で洗えて速乾性も高いこと。スーツは毎日着るものであることを考えると、小野さんが言うように作業着を目的とした利用だけではなく、普段スーツを着て街中を動き回る営業マンにとってもメリットはありそうです。

それだけ“これはスーツです”と言っても違和感はありません。もしも新卒採用に課題を持っている企業や、現場のイメージを変えたいと考えている企業は、ワークウェアスーツの導入を検討してみてはいかがでしょうか?

「ワークウェアスーツ」問い合わせ先
株式会社オアシススタイルウェア
https://www.workwearsuit.com/

 

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