建設業界に革新をもたらすカメレオンコードとは?自動認識技術の事例と未来

建設現場では、作業員名簿の提出、作業員の入退場、資材の搬入出など管理しなければいけない事務処理が多く存在します。しかし、近年は建設業でICT化が進んだことで、これまでの作業を効率化できるようになってきています。

そのひとつに次世代カラーバーコードの「カメレオンコード」があります。「カメレオンコード」は、瞬時に複数の情報をカメラで読み取ることができ、低価格で導入できることから、様々な産業から注目を集めています。

今回は、「第20回 自動認識総合展」を取材し、建設業に有効な最新技術を紹介するとともに、カメレオンコードの開発元である株式会社インフォファームの代表取締役社長 辻 博文さんにカメレオンコードの仕組みと建設業界の未来についてお伺いしました。

QRコードやICタグに代わる次世代認証コード

カメレオンコード見本

––カメレオンコードとは、どのようなものでしょうか?

辻 博文さん(以下、敬称略)「カメレオンコードはカラーバーコードのひとつで、黒地に赤、青、黄などのカラーを配列することで情報を表現しています。列、行、配色の組み合わせで、高速かつ高精度で識別することができます。従来のものと比較するとより多くの情報を扱うことができ、汎用性も高く、低価格で導入できることから次世代カラーバーコードとして注目をいただいています」

–– 他の二次元コードと具体的に異なるのはどの点でしょう。

辻「長距離認識、複数同時認識、高速認識が大きな特長です。これまでの二次元コードは接写でしか認識できないものが多かったのですが、カメレオンコードはQRコードの約50倍の距離からも認識することが可能です。またカメラと平行にする必要もなく、60度まで傾けても認識することが可能です。汚れや傷にも強く、色を構成する四角が完全に見えなくならない限りは、認識可能です」

–– 距離による認識スピードや精度の変化はいかがですか?

辻「距離によって認識スピードに大きな影響は出ません。ひとつのコードの認識は0.3秒以内。20個のコードですと1秒以内で同時認識することが可能です」

図書館や塾、保育園、建設現場など多くの成功事例で全産業から注目を集める

株式会社SHIFTのブース

––現在、カメレオンコードはどのような業界で活用をされていますか?

辻「現在は、工場、図書館、学習塾、保育園、建設現場など様々な分野で活用されています。その多くは入退場管理と物品管理になります。例えば、塾では生徒がカメレオンコードで入退室をすると、親御さんにもその情報が共有されるようになっています。また図書館や工場など多くの物を扱う場所では、複数同時認識による一元管理やピッキング作業等の業務効率化に貢献させていただいています。日本通運さんはドローンを使用した倉庫管理を始めています。ドローンに高精度カメラを搭載して、カメレオンコードを一気に把握する。物が多ければ多いほど効率がよくなるはずです」

––建設現場ではどのような導入事例がありますか?

辻「東京の建設現場では、入退場システムを導入させていただいています。顔認証とカメレオンコードの二重チェックとなっていますので、セキュリティは非常に堅牢です。また人だけではなくトラックの管理もしています。ダッシュボードにカメレオンコードを設置し、それを警備員が読み取ります。これによりドライバーは車を降りなくて済むようになりました」

––ICT技術による生産性向上が実現できた成功事例ですね。

辻「カメレオンコードは2005年に開発されました。しかし、大きな注目を集め始めたのは、実は3年前くらいなんです。スマートフォンの普及とカメラ機能の向上とともにカメレオンコードの汎用性が高まっていきました。カメラの性能が上がったことで、カメレオンコードの認識精度も高まり、デバイスの多様化して、気軽に導入しやすくなったのです」

建設現場で考えられるカメレオンコードの使用法

下村社長<株式会社インフォファーム 辻 博文さん>

––今後、建設業界ではどのようなカメレオンコードの活用法が考えられますか?

辻「我々の夢は、入退場管理をカメレオンコードで一元化することです。建設現場は、複数の下請企業が混在しています。現場ごとに作業員名簿を作成し、管理をするのは非常に手間がかかります。作業員の情報をデータベースで一元管理する。ひとつのカメレオンコードがあれば、どの現場にも出入りできるようになれば、大きなコスト削減が可能 です」

––下請負も元請負も非常に楽になりますね。

辻「さらに材料・資材の搬入も同様です。どこの業者の“誰”が“何”を運んでくるのか、をカメレオンコードで認識することで大きな効果を得られますし、ピッキング作業もウェアラブルカメラを使用することで、効率化を果たせると思っています。ウェアラブルカメラもスマートフォンを設置するだけで、多くの物品から指定のものを捕捉することができます。後は動線管理の技術を応用していければ、さらに可能性は広がっていくと思います」

ウェアラブル<ウェアラブルカメラの使用例>

––動線管理とはどのようなものでしょうか?

辻「カメレオンコードで認識した人物の動きを追い続けることができます。その膨大なデータを集積することで、作業に対して生産性の高い動きをしているかどうかを判断できるようになります。ビッグデータから遺伝的アルゴリズムの考えを応用して、AIがもっとも効率的な動きを導き出すのですが……」

––ちょっと怖い話ですね(笑)。AIに管理されるSFの世界のようです。

辻「まだまだ可能性の話です(笑)。しかし、高齢化が進む日本社会では、ロボットやAIの進化をもっとも受け入れやすい環境と言えます。今後、人にしかできない仕事は人間がやり、生産性を高める。そんな時代が遅からずやってくるでしょう。現段階で、実現可能なアイデアとしては、動線管理から誰がどこで働いていたのかは認識できますので、作業日報の簡略化は可能です」

低コストと汎用性の高さがカメレオンコードの武器

製造業におけるカメレオンコードの事例<カメレオンコードを作業帽に貼り付けた使用例>

––カメレオンコードは、低コストで導入できるのも大きな魅力です。

辻「ICタグなどと比較すると圧倒的な低コストで導入することができます。カメレオンコードは、一般のカラープリンターとデバイス(スマホやネットワークカメラ)があれば、すぐに使用することができます」

––いまの時代でしたら、誰でも所持しているものですね。

辻「スマートフォンやタブレットのカメラの性能が上がり、しかも安価で購入できるようになったことが追い風になっています。開発当初はスマートフォンで読み込むというアイデアはなかったんです」

––現状の課題はありますか?

辻「カメレオンコードだけではなく、2次元バーコード全体の弱点として、隠れてしまうと読み込めない。暗すぎる場所や光が強すぎて反射して読めないこともありました。しかし、いまはカメラだけではなく、印刷技術も進化しています。反射しない紙に印刷する事で問題をクリアできました」

––シンプルな二次元バーコードですが、汎用性の高さは群を抜いていますね。セキュリティに関してはいかがですか?

辻「勘違いされている方が多いのですが、QRコードのように誰でも読み取ることはできません。例えば、◯◯社さんに発行したカメレオンコードは、◯◯社さんしか読み込むことができません。セキュリティには万全の体制をとっているので、不正はできません。ただし、業界で共通コードを使用し、共通で読める様にする事もできます。またカメレオンコードは色の配列で認識するので、柄は長方形以外のデザインも用意できます」

––今後、カメレオンコードで実現していきたいことは何でしょう?

辻「我々も様々なお客様と相談しながら、どういったことが可能か、模索しています。建設現場では、現場でこういう作業をしている人に事故や怪我が多いとかのデータを取れるかもしれないし、水を取る回数などをデータにできます。業界のニーズに合わせて、サービスを展開していきたいと思っています」

自動認識総合展で発見した注目技術

自動認識総合展

「第20回 自動認識総合展」には、「カメレオンコード」の他にも建設業に有効なサービスが多数展示されていましたので、こちらで紹介していきます。

ステレオカメラによる歩行者・作業者の検知

ショベル、ブルドーザーなどの建機で知られる日本キャタピラー合同会社による「歩行者検知警戒システム」。ブラクステールと呼ばれる産業用ステレオカメラを使用した(後付可能!)画像認識により、歩行者・作業者とその他の障害物を判別して、個別の警報を出すことが可能です。例えば、建機からの距離が1.5〜6.0mのAエリアでは、警報発信・エンジン回転ダウンを行い、0〜1.5mのエリアBでは自動停止を行う2段階の危機回避が可能。周囲に作業員が多い現場での人身事故、車両損傷を低減します。

屋内自律移動ロボットソフトウェア「Rtino(アルティノ)」

地図自動作成機能を有した屋内自律移動ロボット「Rtino(アルティノ)」。これまでの自律移動ロボットは、障害物があると動作が停止してしまうことが多かったのですが、「Rtino(アルティノ)」は自動回避が可能。移動台車に付与することで、指定の地点まで自律移動して運搬できたり、フロア内の環境計測を自動に行う、監視業務を担わせるなど様々な応用ができ、省人化が期待されます。

まとめ

技術の進化にともなう業務効率化が多くの産業で始まっています。次々と斬新なイノベーションが生まれてくる一方で、一体なにが自社の業務に有効なのか、現状の課題はなんなのか、をしっかりと見極める必要があります。

と同時に、大きな一歩や決断をしなくては改革を推し進めることができないのも事実です。これからも「ケンセツプラス」では、皆さんの働き方のヒントになるような情報をお届けしたいと思います。

 

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