“省エネ”から“創エネ”へ!「あかりパーク®」で見えてきた建設業界の最新エネルギー事情

日本は世界第5位のエネルギー消費国ですが、エネルギー自給率はわずか7%(※1)。ほとんどのエネルギー資源を海外に頼っている状況です。さらに日本は化石燃料エネルギーの依存度も高いため、供給と価格の不安定さが以前より指摘されていました。

そんな背景下、近年では石油・石炭などの限りある資源エネルギーから太陽光、太陽熱、地熱、風力、火力、バイオマスなどの「再生可能エネルギー」への移行が急速に進んでいます。

「省エネ」から「創エネ」へ。

それは建設現場も例外ではなく、平成29年4月より「建築物省エネ法」が施行されたことで、建物の構造はもとより現場での省エネ、節電も加速度的に進んでいます。顕著な例が省エネを実現するスマートビルディングと言えるでしょう。

今回は、世界的照明デザイナーである石井幹子さんがプロデュース、経済産業省、環境省、国土交通省が共催した「創エネ あかりパーク® 2017」を訪れ、日本のエネルギーの未来と建設業の関わりを探ってきました。

石井幹子さんがプロデュースの幻想的なイベント「あかりパーク®」とは?

あかりパーク_創エネ

2017年11月1日(水)〜5日(日)に上野恩賜公園で開催された「創エネ あかりパーク® 2017」。照明デザイナーの石井幹子さん演出による優しい光の世界が会場である上野恩賜公園を幻想的に包んでいます。

七色に光る噴水にレーザー光線など多彩な光の演出のなか、経済産業省、環境省、国土交通省、新エネルギー・産業技術総合開発機構 NEDO(以下、NEDO)、NTTドコモ、東京地下鉄(東京メトロ)、トヨタ自動車、大成建設などのブースが並び、各業界のエネルギーへの取り組みに触れることができました。

あかりパーク_石井幹子さん<「創エネ あかりパーク® 2017」プロデューサー/石井幹子さん>

「創エネ あかりパーク®」は、一般の方に、様々な展示を通して最新の再エネ・創エネ・省エネ技術の知識を深め、大きな関心を持ってもらうことを目的に2012年よりスタートしたイベント。東京タワーや東京港レインボーブリッジ、明石海峡大橋、姫路城などの照明デザインを手がけてきた石井幹子さんが創り出した美しい世界にうっとりとしながらも、編集部が注目したのは、大成建設とNEDOのブースです。

年間エネルギー収支ゼロを達成した大成建設

大成建設_ZEB

では、建設業界ではどのようにエネルギーと向かい合っているのでしょうか?幼い頃からエネルギーに親しんでもらうため、「子供向け工作教室(LEDライト利用)」を行っていた大成建設株式会社のブースでは、ご家族連れでにぎわっていましたが、編集部が注目したのは「ZEB」と「ZEH」です。

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは?
建物のエネルギー消費量を、省エネや再生可能エネルギーの利用を通して、限りなくゼロに近づける取り組みです。日本のエネルギー消費量の3割以上を占める民生部門のなかでも、業務部門(オフィスビル、小売店舗、病院、学校など)がその過半を占め、増加が顕著になっています。経済産業省・国土交通省・環境省が2015年にロードマップを発表し、2020年までに新築公共建築物等で、2030年までに新築建築物の平均でZEBを実現することが目標としています。

大成建設では、神奈川県横浜市戸塚区に「大成建設技術センターZEB実証棟」を建築し、ZEBの実現に挑戦。2014年6月〜2015年5月の1年間で、建物単体で年間エネルギー収支0(ゼロ)を達成しています。これは国内都市部における初、世界的にも稀有な事例。その実現には、様々な最新技術が導入されていましたので、その一例を紹介します。

【有機薄膜太陽電池外壁ユニット】
●壁面での適用を実現●有機材料のため、色の選択・変更が可能●ロールツーロール方式で形・寸法の自由度が向上●軽量で施工性が向上し、建材一体化が可能

【T-Green BEMS】
●エネルギーの見える化/管理・分析・制御をオールインワンで提供●創エネルギーと消費エネルギーを最適に制御●ZEB navi®画面で見える化し、エネルギー管理を実施

【低照度タスク&アンビエント照明システム】
●採光システムと超高効率LED間接照明の連携で室内の明るさを確保●人検知センサーで人の在・不在を判断し、高効率に下向きLED照明を制御●やわらかい光の有機ELタスクライトで好みに合わせて机上面の光環境を調整

詳細はこちらから
大成建設株式会社 ZEB実証棟

すでに実用化に向けた動きを本格化している大成建設。建物単体でエネルギー収支をゼロにするなんて……ありとあらゆる角度から「永久機関」の研究に捧げた過去の科学者たちも大いに驚いているのではないでしょうか。

省エネを建築する前段階から、省エネ・創エネ仕様にする工夫は、建設業界だからこそ可能なことです。建設業界が、地球環境・エネルギー問題に密接に関わっているという好例ではないでしょうか。

未来を拓くイノベーションはNEDOにあり!?

NEDO_あかりパーク<NEDOによる水素を使用した燃料電池の実験展示>

つづいて取り上げるのは、国立研究開発法人として「エネルギー・地球環境問題の解決」「産業技術力の強化」の2つの問題に取り組むNEDOのブースです。

今回は、太陽光発電や風力発電に関するクイズやヒートポンプの仕組みが分かる模型の展示、燃料園地自動車の実験ショーなどを展示していたNEDO。建設業界と直接的に関わりがある展示内容ではありませんでしたが、世界水準の高い技術力と研究力で革新的なイノベーションを生み出してきた実績があります。

実に多岐にわたる研究を行っているNEDOですが、先述のBEMS(ビルディング・アンド・エナジー・マネジメント・システム)の導入支援の実績があり、最近ではドローンを使ったICT土工やAIを活用したコンクリートのひび割れ点検システムの開発などで建設業界と関わりを持っています。

生産性向上や工期の短縮に結びつく最新テクノロジーの導入は、すでに建設業界でも始まっています。今後、エネルギーや情報通信の面で建設業界にどのような技術革新を生み出してくれるのか、NEDOの動向にも注目していきたいと思います。

建設業界が取り組むエネルギー問題

建設_エネルギー

長らくその問題点が叫ばれながらも、個人レベルではなかなか実感のわかないというのがエネルギー問題ではないでしょうか?

しかし、「建築物省エネ法」の制定以来、建築物の在り方はエネルギーと切っても切れない関係になっています。スマートビルディング、スマートハウスなどに代表されるように、建築物の在り方も問われてきています。時代とともに建物のデザインや構造が変わっていくように、いま新たな変化のときを迎えていると言えるでしょう。

今回は専門職向けのイベントではありませんでしたが、光のアートに包まれながら、エネルギーと建設業界のちょっとした未来を垣間見ることができました。

[出典]
※1IEA「Energy Balance of OECD Countries 2016」

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