車両事故時に作業員の権利を守る!「(工事・通勤)用車両届」の書き方

工事現場で働く方ならば、資材を運搬するトラックや作業員が通勤に使用する車両など、日々さまざまな車両を目にすることでしょう。

これらの車両を使っていると、時に現場とは関係のない公道上で事故が起きてしまうことがあります。

多くの会社が協力して作業を進める現場では、事故が起きてしまった時に責任の所在を明らかにしなければなりません。

この記事で書き方をご紹介する「(工事・通勤)用車両届」は、万が一現場や通勤途中で車両関係の事故が起こった場合に、車両運転者の氏名・免許情報・保険の種類や有無・通勤の経路などを確認し、責任の所在を判断するための書類です。

万が一の際に自社の社員や雇用している作業員の権利を守るためにも、書き方をしっかり学び、よりよい管理体制の構築に役立てましょう。

■グリーンファイルのひとつ、「(工事・通勤)用車両届」とは?

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労務安全書類(グリーンファイル)のひとつである「(工事・通勤)用車両届」は、現場に出入りする工事関係車両を元請が管理するための書類です。この書類は一次下請負をはじめ、車両を利用する全ての協力会社がそれぞれ提出します。

基本のフォーマット(様式)は、「全建統一参考様式第8号」で、元請負が用意するものによってフォーマットに若干の違いはありますが大きくは変わりません。

記載の内容は主に車両運転者の氏名・免許情報・保険の種類や有無・通勤の経路について。それらがもれなく記載されていれば独自のフォーマットを使用しても問題ありません。

全建統一参考様式第8号を使用する場合には、書類の表題にある(工事・通勤)のどちらかを○で囲んで、用途を明らかにしたうえで項目を記載していきましょう。

■ちょっと待って!「(工事・通勤)用車両届」を記入するその前に

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さっそく記入方法を解説していきたいところですが、ちょっと待ってください。「(工事・通勤)用車両届」には記入の前に注意したいことがいくつかあります。

まず最初に、この書類は車両1台ごとに提出するものです。会社のメンバーが各々の車で通勤する場合は全員分の書類を提出しなければいけません。

元請負の用意したフォーマットによっては、1枚の書類に複数台分の記入項目が用意されている場合もありますので、様式に従って運行される全車両を記載して提出しましょう。

また、元請負や自身の会社が用意したフォーマットによっては、「車両番号」の項目に「自動車登録番号」と書いてあったり、「型式」という項目が「車種」になっているなど、表現が違う場合もありますので、こちらもご注意を。

ふたつ目の注意点として、この書類を提出する時には任意保険の証書の写しを添付する必要があります。
※ 元請負に求められた場合には、運行経路図や、車検証・運転免許証の写しも併せて添付します。

このように、車両が1台だけとなる場合でも、複数の書類を揃える必要があるので、注意しておきましょう。

それでは、「(工事・通勤)用車両届」への記入内容を解説していきます。

■「(工事・通勤)用車両届」の記入方法

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この書類の作成は特に難しい点はなく、運転者や保険の状況をしっかりと確認して正確に記入すれば問題ありません。

全建統一参考様式第8号に従うと、主な記載項目は以下の通りです。

・事務所等の各名称
・使用期間
・所有者氏名
・安全運転管理者氏名
・車両について
・運転者について
・自賠責について
・任意保険について
・運行経路

◎「(工事・通勤)用車両届」の記入例 「各名称~車両について」まで

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① 事務所等の各名称
この項目には「事業所の名称」「所長名」「一次会社名」「使用会社名(二次)」「現場代理人(現場責任者)」の項目がありますので、それぞれか該当する名称を記入しましょう。「現場代理人(現場責任者)」の項目には印鑑が必要なので提出前には忘れずにもらっておきましょう。

② 使用期間
使用期間の欄には、記載する車両が現場に入る期間を日単位で記載します。
記入例:平成29年5月1日~平成29年7月3日

③ 所有者氏名
所有者氏名の欄には、記載する車両の所有者名を書きます。会社が所有している場合は「会社名」もしくは「社用車」と記載します。

④ 安全運転管理者氏名
安全運転管理者氏名の欄には、使用する車両台数が多い場合に管理を統括して行う役目の人を記載します。普通自動車は5台以上、マイクロバスは1台以上で選任が必要です。(台数が少ない場合は空欄でも問題ありません)

選任する場合は条件がありますので、よく確認して名前を書くようにしましょう。選任の条件は以下を確認してください。

・年齢20歳以上(副安全運転管理者を専任している場合は30歳以上)
・2年以上の運転管理の実務経験を有する者。又は同等以上の能力があると公安委員会が認定した者
・過去2年以内に公安委員会の安全運転管理者等の解任命令を受けたことのない者

安全運転管理者を選任した場合は、その日から15日以内に、建設業者の本店や営業所を管轄する警察署を通して公安委員会に届け出が必要です。

⑤ 車両について
車両の欄は、「型式」と「車両番号」、「車検期間」の項目に分かれています。
型式には、ミニバン・ワゴン・トラック・マイクロバスなどの車種を書きます。※細かな指定がある場合は、車両名を書く場合もあります。
車両番号はナンバープレートの番号を書き、車検期間の欄は車検証に記載されている期間を記載しましょう。

◎「(工事・通勤)用車両届」の記入例 「運転手について~運行経路」まで

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⑥ 運転者について
運転者の欄には、「氏名」「生年月日」「住所」「免許の種類」「免許番号」を記載します。これは、運転者の免許証を見て記入すれば問題ありません。
運転者が変わる場合は、新しい届出書を作成することになるので、人員の配置替えを行う場合は注意しましょう。

⑦ 自賠責について
自賠責の欄には、「保険会社名」「証券番号」「保険期間」を記載します。自動車損害賠償責任保険証明書をもとに間違いのないよう記入しましょう。

⑧ 任意保険について
任意保険の欄は、「保険会社名」「証券番号」「対人」「対物」「搭乗者」「保険期間」に分かれています。「対人」「対物」「搭乗者」の欄には、補償の金額を記載します。

書類を提出した後に保険の解約やプラン変更をした場合は都度提出が必要なので、覚えておきましょう。
先ほども説明しましたが、任意保険の証書の写しは書類と共に提出する必要があるので、忘れないようにしましょう。

⑨ 運行経路
運行経路の欄には、出発地点から作業所までの道のりを簡単に記載します。使用する主要道路や、交通経路上の主要な地点が記載されていればOK。引越し等で住所が変わった場合は都度再提出が必要です。

記入例:自 会社(神田) 経由 神田橋~ 経由 馬場先門~ 至 丸の内作業所

基本的な記載項目は上記のようなものになりますが、フォーマットによっては経路の記載欄がある場合や、別紙で運転経路図を添付する場合があります。

もし運行経路図を作成する場合には、以下の5項目をまとめた書類を作成し、併せて提出します。

・運行経路の距離
・所要時間
・同乗者氏名
・経路
・略図
※必要事項が記載されていれば、書式は自由という場合が多いようです。

これらの書類は、協力会社の事業所や宿舎から現場までの通勤経路を明らかにして、交通事故が発生した場合に通勤災害(場合によっては業務上の災害)か、その他の交通事故なのかを判断するために必要なものです。

記載の経路から著しく外れた場所で事故が起こった場合には、通勤災害と認められないこともありますので、記入の際は実際に使っている経路を書くようにしましょう。

作成後は、書類に記入した通勤経路を守らせることが大切なので、地図を見て簡単に経路図を作りましょう。

経路図は、道路工事で運行する際に通れなかったり、実際に走ってみると使いづらかったりすることがあるので、現場の状況と照らし合わせながら作成することが大切です。

「(工事・通勤)用車両届」に記載する項目は以上です。

繰り返しになってしまいますが、この書類は事故が起こってしまった際に、責任の所在を判断するための書類です。万が一事故が起こってしまった時に社員や作業者の権利を守るためにも、運転者とすり合わせを行いながらしっかりと書類作成を行いましょう。

◎そのほかの労務安全書類(グリーンファイル)作成方法はこちら
ケンセツプラスの「安全書類の書き方」シリーズ

 

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